最適チューニングされた最新DSPとの連携で、音の個性が際立つ
今回の体験会でのもうひとつの「聴きどころ」は、最新デジタルプロセッサー(DSP)の威力だろう。車種専用セッティングを設定することで、純正装着されているスピーカーのポテンシャルを最大限に引き出すことができる、

ランクル250のフロント装着部。TS-H100-TY(トヨタ車専用 10cm 2wayスピーカー)はトヨタ車用の変換コネクターとネットワークを同梱しており、特殊な配線加工をすることなくさまざまなトヨタ車の純正ダッシュボードスピーカー位置へ取り付けられる。

ランクル250の場合、純正と切り替えての試聴では、全域でのバランスのよさが印象的だった。

右が「DEQ-2000A」スピーカーレベル入力に加え、Bluetooth接続やRCA入力も装備し、様々なソース音源に対応。出力は4chスピーカー出力と本格的なシステム構築が可能な6系統の4.0VハイボルテージRCAプリアウトを備える。コンパクト設計でシート下への設置もスムーズだ。(左は上級のDEQー7000A)
トヨタ ランドクルーザー250、ホンダ シビック タイプR、トヨタ プリウスに搭載された「DEQ-2000A」は、純正オーディオの個性を活かしながら、高度な音響調整能力でさらなる臨場感や奥行き感を比較的気軽に実現してくれる。
DEQ-2000Aは高効率なMAX 80W×4ch Class Dアンプを内蔵し、Fシリーズスピーカーをパワフルに駆動する。さらに、ハイレゾ対応のBluetooth接続やUSB-DAC入力を備え、高音質ソースをダイレクトに処理できるのも強みだ。
精緻なイコライジングや、各スピーカーからの音の到達時間を調整する「タイムアライメント」機能による音場の最適化は、好みに合わせて「耳心地の良い」ポジションを調整することを可能にしている。
実際に試聴してみると、コンポーネンツの組み合わせ方による音の変化が興味深い。たとえば純正スピーカーにDSPだけを組み合わせたタイプRでは、低温の重厚な響きが際立って感じられたし、トヨタ車専用チューニングのトゥイーター「TS-H100-TY」を組み合わせたランドクルーザー250では、男女を問わずボーカルの声がよりクリアに聴こえてくる。
このあたりのチョイスは「好み」次第というところだろうか。

車種専用セッティングを徹底したDSPは、コストパフォーマンスも高い。プリウスでは、その絶大な効果を「繊細かつ力強い」サウンドで実感することができた。

TS-H100-TY(コアキシャル2ウェイスピーカー)は、フランジ部にはきめ細かな音まで余すことなく耳元に届けるディフューザー形状が採用されている。車種ごとに異なる音の指向性を最適化するための「ロータリー機構」を採用。フランジを回転させることで、音をリスナーに向けて正確に届ける調整が可能となり、最適な音場構築に貢献する。
驚かされたのはプリウスだ。基本はランクルと同じDSPとトヨタ車専用チューニングのトゥイーターを、純正のオーディオシステムにプラスしたものだったが、音域を問わず情報が非常に豊かで、同じ曲を聴いていてもまったく違う華やかさや力強さ、キレを実感することができた。
純正の基本性能が違っていることもあるのだと思うが、プリウス専用のスピーカーマウンティングキットによるフィッティングの妙も、印象の違いにつながっているはずだ。ガラスからの音の反射を軽減しながら、指向性まで最適化することで、全域でのスムーズさが変わる。
実際に聴き比べることで、「もっと、いい音」へのパイオニアのこだわりを、改めて鮮明に実感することができた。

