V8エンジン、6速シーケンシャル、ペダル調整、内部構造まで本気
このモデルが特にユニークなのは、外観を眺めるだけの飾り物ではなく、内部メカニズムの再現に重点を置いた“構造体験型ホビー”であることだ。
組み立てると、実車の6.3L V8自然吸気を模した精巧なエンジンがフロントに現れ、リアには6速シーケンシャル式のレース用トランスミッションを模したギアボックスが組み込まれる。ニュートラルとリバースを含む6段構成で、ギア切り替えの動作も再現されている点はおもちゃの域を超えている。

ブロックながらV8の構成を読み取れる作り。補器類まで再現され、組むほどに構造理解が深まる設計だ。
レース仕様のステアリングホイールはAMG GT3専用デザインを再現し、ロールケージに守られたコックピットでは、ペダルやステアリング角度が“実車と同じように”調整可能だ。
この構造を組み上げていく過程で、GT3がどういう思想やパッケージングで成り立っているのかが自然と理解できるようになっている。
実車さながらの演出も、このモデルの魅力を大きく引き上げている。前後のLEDライトはUSB給電で点灯し、耐久レース用の追加ライトまで実働するため、夜間のサーキットシーンを彷彿させる迫力がある。ショーケースに入れても存在感抜群だ。

フロントライトの明るさは十分で、耐久レースの雰囲気を再現。ディテールの細かさも手元で確認できる。
さらに驚くべきは、エアジャッキの再現である。外部のエア圧を使って車体を持ち上げ、ピット作業を模した演出が可能になるという、組み立てホビーとしては異例のギミックを搭載。
さらに付属のワークショップクレーンを使えばエンジンを“吊り出す”こともでき、レーシングチームの整備シーンそのままの遊び方ができる。
パッケージも豪華で、組み立て手順を1735ステップに分解した827ページの厚い説明書が付属。このモデルの位置づけが「玩具」ではなく「大人の本格ホビー」であることを物語っている。

付属クレーンでエンジンを取り外せる構造がユニーク。整備シーンをそのまま再現できる拡張性が魅力だ。
手で触れるモータースポーツ体験ができてGT3への理解が深まる
CaDA製「Mercedes-AMG GT3」は、レーシングカーの迫力、精密な構造、そして“自分の手で組む体験”を融合させた、唯一無二のモデルと言える。
単に完成品を眺めるのとは異なり、ギアやエンジン、ロールケージをひとつひとつ組み上げることで、GT3というマシンが持つ技術の必然性や構造美を体感できるのだ。

AMG GT3特有のワイドなフロントフェイスと低いノーズを、模型と実車の対比で強烈に印象づける演出だ。
モータースポーツ文化を“読む・見る”から“組んで理解する”へ。
その新しい楽しみ方を提案するプロダクトとして、AMG GT3モデルは大人のホビー市場でも確実に存在感を放つだろう。

