新設計のエアサスペンションの仕上がりも見事だった

軽量化といっても約2.5トンある大柄なボディだが、身のこなしは比較的軽いように感じられる。
その走りは極めて滑らかで、アクセルペダルの小さな踏み込み量で軽やかに車速を上げ、それを楽に維持することができる。そしてひとたび踏み込めばスーパーチャージドエンジンは強烈な加速を披露する。
0→100km/h加速5.4秒という実力はハンパではない。静粛性も素晴らしく、並みの高級サルーンをしのぐほど。120km/h以下で聞こえるのは、ほぼロードノイズのみとアナウンスされているが、まさにそのとおりだろう。
アルミニウムを多用した新開発のシャシには、オール新設計の4輪クロスリンク式エアサスペンションを組み合わせる。これがしなやかにストロークし、快適な乗り心地を提供してくれる。そして軽量化の賜物か、これだけ大柄な車体のわりには身のこなしが軽いように感じられる。重心も高いはずだがロールは小さく抑えられており、ハンドルを素早く切り返しても揺り返しがない。このクラスにおいて、現状これ以上はないと思える仕上がりだった。
路面状況に合わせて各種制御を最適化する「テレインレスポンス」も第2世代に進化し、走行条件を分析して最適なプログラムを自動的に選択するオート機能が備わった。また、吸気の取り回しの工夫により水深900mmまでの渡河を可能とするなど、オフローダーとしての資質も一層磨き上げている。
ラグジュアリーSUVの雄であるレンジローバーは、この新型でさらなる高みへ登りつめたといっても過言ではないだろう。

上質な革とウッドをふんだんに使ったインテリア。ATセレクターはコンソールのダイヤルで、その手前にテレインレスポンスのスイッチが備わる。
ランドローバー レンジローバー オートバイオグラフィ 主要諸元
●全長×全幅×全高:5005×1985×1865mm
●ホイールベース:2920mm
●車両重量:2520kg
●エンジン:V8 DOHC+S/C
●総排気量:4999cc
●最高出力:375kW(510ps)/6500rpm
●最大トルク:625Nm(63.8kgm)/2500rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:フロント縦置き4WD
●燃料・タンク容量:無鉛プレミアム・105L
●JC08モード燃費:5.3km/L
●タイヤサイズ:275/40R22
●当時の車両価格(税込):1670万円
