エクステリア、インテリアだけでなくエンジンを含めた“中身”も完全再生
今回のプロジェクトは単なるリペイントではない。車両は完全に分解され、V10自然吸気エンジンを含む主要コンポーネントは一からオーバーホール。カーボンパーツも再コーティングされ、技術的には新車同等の状態へと戻された。

カーボン製カバーに赤文字の「PORSCHE」が映えるV10エンジン。完全分解・再組み立てにより、技術的には新車同等の状態へと蘇った。
エクステリアでは、ルーフパネルやA/Bピラー、ミラーカバー、フロントエアダクト、リアディフューザーなどにマットブラックカーボンを多用。ブラック塗装の5スポークホイールには、カラークレストが組み合わされる。
インテリアも徹底しており、ダッシュボードやドアトリム、ステアリング、センターコンソールにはインディアンレッドのアルカンターラを採用。シートには918スパイダー由来のFIA規格難燃素材を用いるなど、質感と機能性の両立が図られている。

917をオマージュした赤白ストライプとゼッケン23番。上から見てもラインの流れが破綻しないよう、綿密にデザインされている。

ダッシュボードからステアリングまで赤で統一。視界に入るすべてがドライバー中心に設計された、走りを意識した空間だ。

赤いアルカンターラとマットカーボンを組み合わせた室内。918由来のFIA規格素材を用い、見た目と機能性を両立する。
この「ファクトリー・リコミッション」は、ポルシェの特別注文プログラム“ゾンダーヴンシュ”の一環として提供される特別なサービスで、既存オーナーの車両を工場で徹底的に再生・再定義するものだ。完成後の仕様はすべてアーカイブに記録され、品質は新車と同等に保証される。
2003年の登場時、最高速330km/h、612psを誇り“世界最速級”と称されたカレラGTは、すでに歴史的名車の領域に入っている。その一方で、ポルシェは「保存」ではなく「再生」という手法で、スーパーカーの価値を未来につなごうとしている。

マットブラック仕上げの5スポークホイールに、カラークレストを組み合わせる。赤白のボディと足元の引き締め効果が際立つ。
ゴメス氏は次のように述べています。
「ゾンダーヴンシュの専門家たちは、非常に情熱的に、細部にまで気を配って作業を進めてくれました。今では、走行距離0kmの新車状態のカレラGTを所有しています。外装も内装も私の理想通りに仕上げられています」
今回の一台は、単なるコレクターズアイテムではない。ポルシェが自らのヘリテージと真正面から向き合い、それを現代の技術と品質で更新できることを示した、極めて象徴的な存在である。
