過去に体験したことのない剛性感としなやかな足まわり
そのMPCで生産されるMP4-12Cの最大の特徴が、カーボンモノセルと呼ばれるCFRP製バスタブを使ったボディ構造だ。しかも前後のサスペンションやエンジンなどが搭載されるアルミ製フレームは、これと一体で成形されている。DIN表示で1400kg台に収まる軽量設計と類い稀なる高剛性は、まさにそのおかげと言える。
エンジンはV型8気筒3.8Lツインターボ。新素材の積極採用、そして小排気量ターボのコンセプトなどによって軽量化を図ったこのエンジンのスペックは、最高出力600ps、最大トルク600Nm。SSGと呼ばれる7速デュアルクラッチギアボックスが組み合わされる。
ディヘドラルドアを開け、運動性能重視で左右席間を狭めた室内に乗り込み、発進させてまず驚いたのが乗り心地だ。過去に体験したことのないほどの剛性感を示すボディ/シャシを土台にサスペンションがしなやかにストロークして、路面からの入力をすべていなしてしまう。
アンチロールバーを省く代わりに前後左右のダンパーを連関させたプロアクティブシャシコントロールを採用した効果も大きいに違いない。
ノーマル/スポーツ/トラックとモードを切り替えるほどにロールは抑えられるが、内輪で縁石をまたいでも外輪に影響が及ばず、結果として素晴らしく安心感が高いのだ。
コーナリングも極めてソリッド。ハンドル操作に対してクルマ全体が間髪入れずに旋回姿勢に入っていく一体感の強さは、これまた筆舌に尽くし難い。何しろコーナー立ち上がりでスライドしたって、余裕でコントロールできるのだ。他でもない、600psのミッドシップマシンでの話である。こんな走り、今まで体験したことはない。

「MP4-12C」の12Cは、12気筒エンジン並みの性能を備え、カーボンファイバーを用いた車両を意味する。
さらにエンジンの出来映えも素晴らしい。低速域からトルクフルなだけでなく、ピックアップは回転域を問わずシャープ。回すほどにパワーを炸裂させ、8500rpmという高回転域のレブリミットまで一気に到達する特性は実に刺激的だ。ライバルの高回転型NAエンジンに決して見劣りしているとは思わない。
ブレーキングも強力。急制動時にはリアスポイラーが起き上がって4輪を接地させ、制動力をフルに引き出すエアブレーキも付いている。
MPCを見学し、そしてMP4-12Cに試乗して印象深かったのは、徹底的なまでのクオリティへのこだわりぶりだ。文字どおりすべての領域で、それがひしと伝わってくる。「パッションがないと言われますが、私たちにはイタリアンブランドのそれと同じものがないだけ。テクノロジーの追求、細部への徹底的な配慮など、私たちにはマクラーレン流のパッションがあるのです」
3月までPRのトップを務めていたマーク・ハリソン氏の言葉に偽りはなかった。間違いなくMP4-12Cは、新しいスーパースポーツ体験をもたらしてくれる1台である。(文:島下泰久)
マクラーレン MP4-12C 主要諸元
●全長×全幅×全高:4507×1909×1199mm
●ホイールベース:2670mm
●車両重量:1509kg
●エンジン:V8DOHCツインターボ
●排気量:3799cc
●最高出力:441kW(600ps)/7000rpm
●最大トルク:600Nm(61.2kgm)/3000-7000rpm
●トランスミッション:7速DCT(SSG)
●駆動方式:MR
●最高速:330km/h
●0→100km/h加速:3.3秒
※EU準拠



