昭和を駆け抜けた和製スポーツモデルたち。その勇姿を、モーターマガジン社の70年以上にわたる取材記録や当時の写真を基に紹介しよう。今回は、1964年にデビューした日本初の「GT」、いすゞ ベレット1600GTだ。

▶▶▶クーペと2ドアセダンも。いすゞ ベレット1600GT(画像5枚)

いすゞ ベレット1600GT<PR90型/1964年(昭和39年)>

ヒルマン ミンクスの後継モデルとして、ベレットがデビューしたのは昭和38(1963)年6月のこと。曲面に囲まれたコンパクトなボディシェル、そして独特な走行特性が人々の心をとらえた。

その秘密は後輪のサスペンション レイアウトにあった。ダイアゴナルリンクとコイルを組み合わせ、さらに横置きリーフスプリングのコンペンセータを加えた独立懸架システムにより、ベレット独特の「ふんばりの効いた」走行性が生まれたのである。なお前輪はウイッシュボーン/コイルの独立懸架となっている。

当時まだ少ない全輪独立懸架を採用したベレットに、スポーティタイプがバリエーションに加えられるのは、むしろ当然の成り行きと言ってよかった。昭和38年秋の第10回東京モーターショーでは1500GTのプロトタイプが発表された。そして翌39年4月には、それとは別のより強力なエンジンを搭載した1600GTがデビューした。ボディは2ドアクーペで、ホイールベースはセダンと同一の2350mmだが、車高は1350mmと40mm低められていた。なお全長は4005mm(セダンは4010mm)、全幅は1495mmだ。

ちなみに1600GTは同年9月には早くもマイナーチェンジを行い、4灯式ヘッドライトは2灯式+フォグランプへと変わり、前輪にはディスクブレーキが装着されている。エンジンはG160型と呼ばれる直4 OHV、排気量は1579cc(ボア83×ストローク73mm)で、SUキャブレターを2連装。最高出力は88ps/5400rpm、最大トルクは12.5kgm/4200rpmを発生した。

画像: SUツインキャブの吸気音と抜けの良いマフラーによる排気音とのハーモニーで、官能的なサウンドが楽しめた。

SUツインキャブの吸気音と抜けの良いマフラーによる排気音とのハーモニーで、官能的なサウンドが楽しめた。

車両重量は940kgだったから、馬力当り重量は10.7kg/ps(SAE)と10kg/psをわずかにオーバー。最高速は160km/hで、初めてスポーツカーの指標ともいえる100マイルラインに達した。フェアレディ1500が当時最速の155km/hを誇っていたことを考えると、ベレット1600GTの160km/hという数字の持つ意味がよくわかる。

さらに当時の世界に目を向けて見ると、GTと称する量産タイプは、それほど数は多くなかったが、たとえばイギリスのフォード コンサル コルティナGTでは、1.5Lの83.5ps(SAE)エンジンを搭載、馬力当り重量10.4kg/ps(SAE)とベレットGTと同一水準だが、最高速は149km/hだった。

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