昭和を駆け抜けた和製スポーツモデルたち。その勇姿を、モーターマガジン社の70年以上にわたる取材記録や当時の写真を基に紹介しよう。今回は、1965年に発売された、トヨタ スポーツ800だ。

曲面ガラスと着脱可能なルーフパネルを採用

画像: タコメーターは5500rpmからレッドゾーン。イグニッションはタコメーターの左側、センタークラスターに配置された。

タコメーターは5500rpmからレッドゾーン。イグニッションはタコメーターの左側、センタークラスターに配置された。

このボディにはふたつの大きな特徴があった。第1はそのサイドウインドーに曲面ガラスを使用したことで、これは前面投影面積の減少に大きく寄与している。第二は、有名なポルシェ911のタルガトップにほぼ1年先がけて、着脱可能なFRP製ルーフパネルを採用したことである。この航空機を思わせるエアロダイナミックボディの設計には、入念な風洞実験が行われ、それにより前面投影面積は1.33平方メートルと、ポルシェ904の1.32平方メートルとほぼ同一となった。また空気抵抗係数Cd値は、0.30をやや上回る優れた数字を示した。

トヨタ スポーツ800は、量産車パブリカのコンポーネンツ(構成部品)を多用して安価に作られているが、エンジンも当然ながらパブリカの空冷水平対向2気筒OHV(U型)に手を加えた2U型である。ボアは5mm拡大した83mmだが、ストロークは73mmと同一で、排気量は697ccから790ccへと増大している。気化器(キャブレター)もベンチュリー径を増大し(26φ→28φ)、気筒あたり1個ずつ取りつけてあった。またクランクシャフトまわりも強化され、圧縮比も8.0から9.0へと高められた。

4速ギアボックスを介して0→400m加速は18.4秒、最高速は155km/hである。これは当時の代表的ライトウエイト スポーツカー、オースチン ヒーレー スプライトよりも10km/h速い数値だ。しかも上手に走らせれば燃費は市街地で18km/L、郊外のクルージングでは28km/Lと、まさに当時の若者の軽い財布の負担とならない数字だった。このヨタハチこそは、日本のモータースポーツの、いわば青年時代を象徴する傑出した作品のひとつだった。

画像: トヨタ スポーツ800の透視図。超軽量ボディは、ユニークな骨格の配置とアルミやFRPを始めとする当時の新素材を積極的に採用していた。

トヨタ スポーツ800の透視図。超軽量ボディは、ユニークな骨格の配置とアルミやFRPを始めとする当時の新素材を積極的に採用していた。

トヨタ スポーツ800 主要諸元

●全長×全幅×全高:3580×1465×1175mm
●ホイールベース:2000mm
●車両重量:580kg
●エンジン:空冷 水平対向2 OHV
●総排気量:790cc
●最高出力:45ps/5400rpm
●最大トルク:6.8kgm/3800rpm
●燃料供給装置:キャブレター×2
●トランスミッション:4速MT
●駆動方式:FR
●タイヤサイズ:6.00-12
●当時の車両価格:59万5000円

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