2012年1月、6代目となるメルセデス・ベンツSL(R231型)がデトロイトモーターショーでデビューした。メルセデスの量産モデル初となるオールアルミ製ボディ、贅を尽くした最高級の快適性能で注目を集めたが、中でも圧倒的な動力性能を持つAMGバージョン「SL 63 AMG」には大きな関心が寄せられた。ここでは日本上陸を目前に南仏で開催された「SL 63 AMG国際試乗会」の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2012年7月号より)

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500psを遥かに超える最高出力を発するV8エンジンを搭載

動力性能は紛れもない「モンスター級」なのに、拍子抜けするほど軽い操舵感や予想よりも大人しい排気サウンドは、何だかそれとは不釣合いな優等生ぶり。見る人によって評価が大きく変わりそうな、「SLKの兄貴分」ばりに目鼻立ちが随分クッキリとしたルックスの新しいSL 63 AMGに乗って最初に感じたのは、実はそんなちょっと戸惑いの印象だった。

歴代モデルと同様、ピュアな2シーターパッケージの持ち主である新型SLシリーズの中にあって、500psを遥かに超える最高出力を発するツインターボ付きのV8エンジンを搭載するこのAMGバージョン。それは、まずはそうした強靭な心臓を積むというスペックから「メルセデスラインナップの中にあって、SLSを除く最もスポーティなモデル」と思わずそう受け取りたくなってしまう1台でもある。

しかも、今回南仏でテストドライブを行ったのは、専用コンピューターチューニングでさらにその出力を大きく引き上げた、オプションのパフォーマンスパッケージ装着車。標準車の心臓にさらに39psが上乗せされたその最高出力は564psを数え、最大トルクは実に100Nmも追加されて900Nmという強大さを誇る。

画像: オープンでもクーペでも高い剛性感は変わらない。マジックスカイコントロール付パノラミックバリオルーフもオプション設定。

オープンでもクーペでも高い剛性感は変わらない。マジックスカイコントロール付パノラミックバリオルーフもオプション設定。

そんな最新の5.5Lエンジンを「メルセデスの量産モデルとしては史上初」を謳い、骨格部分のみでも従来より110kgほど軽くなったオールアルミ製ボディと組み合わせた結果が、飛び切りの俊足ぶりを生み出すのは言うまでもない。事実、発表される0→100km/h加速タイムは、わずかに4.3秒。パフォーマンスパッケージ仕様は、さらにそこから0.1秒短縮された値が公表されている。

スタートの瞬間のグリップ限界が低いFRレイアウトの持ち主の場合、0→100km/h加速が「4秒そこそこ」というのは、駆動輪が路面を捉え出した以降の加速力がとんでもなく高いことを意味している。

実際、今回テストしたモデルの場合にも、アクセルペダルを踏み続けトラクションコントロールの動作が収まった段階では、比喩誇張ではなく「前輪荷重が失われフロントが浮き気味になる」という感覚を、ステアリングフィールの変化などからイメージできるほどなのだ。

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