2025年9月24日木曜日(現地時間)、F1第15戦アゼルバイジャンGPが首都バクーの市街地サーキットで開幕、決勝は日曜日がアゼルバイジャンの祝日のため、変則的に26日土曜日に行われる。なお、次週にバーレーンGPイン・マレーシアが開催されることになったたため、アゼルバイジャンGPは3連戦の緒戦となる。数々のドラマチックなドラマが展開されてきたアゼルバイジャンGPだが、今年はどんなレースになるのだろうか。

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多様なコース設定、複雑な風、大きな気温変化が波乱を呼ぶ

バクーは古くからヨーロッパとアジアを結ぶ要衝として栄えてきたカスピ海沿岸最大の都市で、城壁に囲まれた旧市街と、近未来的な巨大建造物が立ち並びぶ新市街地が共存することで知られる。

F1グランプリが初めてバクーでレースを開催されたのは2016年。その年は「ヨーロッパGP」として行われ、その翌年から「アゼルバイジャンGP」となり、これまで予測不能なレース展開、意外な表彰台、そしてチャンピオンシップを左右する重要な場面を数多く生み出してきた。

たとえば2017年には、ルイス・ハミルトンとセバスチャン・ヴェッテルがセーフティカー出動中に接触、ダニエル・リカルドが10番グリッドから逆転優勝を飾った。2018年にはバルテリ・ボッタスが勝利を目前にした残り3周でパンクのためリタイア。レッドブルのダニエル・リカルドとマックス・フェルスタッペンが接触する場面もあった。2019年の予選ではルクレールが旧市街入り口のバリアにクラッシュ。2021年にはレース残り5周でトップを独走していたフェルスタッペンが左リアタイヤバーストからクラッシュ、2周だけの再スタートが行われたが、再スタートでハミルトンは誤って予定外のブレーキスイッチを押してしまいターン1でコースオフ。セルジオ・ペレスがレッドブルに勝利をもたらした。

このように毎年のようにアクシデントやトラブルなど波乱が起きている要因のひとつは、レースが行われるバクー市街地サーキット(Baku City Circuit)の難しいコースレイアウトにある。

画像: 狭く曲がりくねった旧市街を走るセクター2。ここではトラクション、ドライバビリティ、空力ダウンフォースが求められる。

狭く曲がりくねった旧市街を走るセクター2。ここではトラクション、ドライバビリティ、空力ダウンフォースが求められる。

そのコースは近代的な建物が並ぶ中をフラットで直角コーナーが続くセクター1、狭く曲がりくねった旧市街を走るセクター2、ほぼ直線の広い道をアクセル全開で駆け抜けるセクター3と3つのセクションに分けられるが、それぞれ性格が極端に異なるため、どちらかのセクションに合わせると別のセクションではタイムが出なくなり、各コーナーでの各マシンの速さにバラツキが生まれることが波乱の要因のひとつに挙げられる。

最高速380km/hを記録する一方で60km/hの低速コーナーもあり、エンジニアには空力ダウンフォース設定は難しい妥協が求められるが、ある区間では優れた性能を発揮するマシンが、別の区間では弱点をさらけ出すこともある。そのためチームによって得意なコーナーや進入スピードが微妙に異なり、オーバーテイクのチャンスも生まれるというわけだ。

また、バクーは「風の街」と呼ばれるほど風が強く、カスピ海から吹く気まぐれな風が波乱を呼ぶこともある。さらに路面温度の変化も厄介で、強い陽射しが当たる場所と近代的な建物によって陽射しが遮られる場所との温度の差が激しく、最終コーナーからターン1まで続く非常に長い全開区間ではタイヤ温度が下がりすぎることもある。

タイヤにとってこの温度変化は大きな課題で、テクニカル区間で約90度に達したフロントのタイヤ温度が、ストレートエンドでは40度に低下することもある。また摩耗が少ないと言われるが、タイヤに大きな縦荷重が加わるのも特徴で、タイヤへのケアは重要だ。

画像: 近代的な建物が並ぶ首都バクー。海沿いを全開で駆け抜けるメインストレートは3台のマシンが並んで走れるほど広い。

近代的な建物が並ぶ首都バクー。海沿いを全開で駆け抜けるメインストレートは3台のマシンが並んで走れるほど広い。

画像: バクー市街地サーキットのコース図。全長は6.003kmと長く、コース図からも変化に富んだレイアウトがよくわかる。

バクー市街地サーキットのコース図。全長は6.003kmと長く、コース図からも変化に富んだレイアウトがよくわかる。

今年の主役はマクラーレンのランド・ノリスか?

そんなアゼルバイジャンGPは予想が非常に難しい。前戦スペインGPではメルセデスのキミ・アントネッリが優勝、2位にレッドブルのマックス・フェルスタッペンが入ったが、最高のパフォーマンスを示したのはマクラーレンのランド・ノリスだった。

ポールポジションから好スタートを切ったノリスは、14周目には2位アントネッリに6.7秒の差をつけていたが、バーチャルセーフティカー(VSC)が発動タイミングに恵まれずライバルよりも1周遅れてたいや交換に入ることになり、5番手まで後退。その後、オーバーテイクが難しいマドリンクではどうすることもできず、3位に終わった。

その結果からも、アゼルバイジャンGPで優勝候補にあげられるのはやはりノリスだろう。

画像: 前戦スペインGPを制したメルセデスのキミ・アントネッリ。今季早くも8勝目をマーク。

前戦スペインGPを制したメルセデスのキミ・アントネッリ。今季早くも8勝目をマーク。

【参考】2026年F1第14戦スペインGP決勝 結果

1位 12 K.アントネッリ(メルセデス)57周
2位 3 M.フェルスタッペン(レッドブル・RBPTフォード)+4.351s
3位 1 L.ノリス(マクラーレン・メルセデス)+5.089s
4位 16 C.ルクレール(フェラーリ)+29.116s
5位 63 G.ラッセル(メルセデス)+29.829s
6位 30 L.ローソン(レッドブル・RBPTフォード)+1m26.746s
7位 43 F.コラピント(アルピーヌ・メルセデス)+1m34.281s
8位 81 O.ピアストリ(マクラーレン・メルセデス)+1m35.839s
9位 41 A.リンドブラッド(レーシングブルズ・RBPTフォード)+1周
10位 27 N.ニコ・ヒュルケンベルグ(アウディ)+1周
────────────
14位 22 角田裕毅(レーシングブルズ・RBPTフォード)+1周
17位 14 F.アロンソ(アストンマーティン・ホンダ)+2周
リタイア 18 L.ストロール(アストンマーティン・ホンダ)

【参考】2026年F1ドライバーズランキング(第14戦終了時)

1位 12 K.アントネッリ(メルセデス)292
2位 63 G.ラッセル(メルセデス)211
3位 44 L.ハミルトン(フェラーリ)191
4位 1 L.ノリス(マクラーレン)186
5位 16 C.ルクレール(フェラーリ)167
6位 3 M.フェルスタッペン(レッドブル)145
7位 81 O.ピアストリ(マクラーレン)120
────────────
19位 14 F.アロンソ(アストンマーティン・ホンダ)3
20位 22 角田裕毅(レーシングブルズ)1
−位 18 L.ストロール(アストンマーティン・ホンダ)0

【参考】2026年F1コンストラクターズランキング(第14戦終了時)

1位 メルセデス 503
2位 フェラーリ 358
3位 マクラーレン 306
4位 レッドブル 230
5位 レーシングブルズ 77
6位 アルピーヌ 68

昨年はフェルスタッペンがポールからひとり旅

昨年2025年のアゼルバイジャンGPでは、ポイントリーダーに立っていたオスカー・ピアストリ(マクラーレン)がスタートで失敗したあげく、挽回を焦ってクラッシュ。いきなりセーフティカー導入となる中、ポールポジションのマックス・フェルスタッペン(レッドブル)は再スタートでも素晴らしいダッシュを見せて主導権を握り、マクラーレンやフェラーリがもたつく間にひとり旅に持ち込んでいった。

後半もフェルスタッペンのレースペースは衰えず、フェルスタッペンは全ドライバー中最後となる41周目に余裕を持ってタイヤ交換。そのまま残り10周を走り切ってトップチェッカーを受けた。

なおこのレースで角田裕毅(レッドブル)は、6番グリッドからスタートして終始上位争いを展開。レース後半は、リアム・ローソン(レーシングブルズ)、ランド・ノリス(マクラーレン)と緊迫の勝負を繰り広げ、6位でフィニッシュしている。

画像: 昨年2025年のアゼルバイジャンGPを制したマックス・フェルスタッペン(レッドブル)。

昨年2025年のアゼルバイジャンGPを制したマックス・フェルスタッペン(レッドブル)。

画像: 昨年2025年のアゼルバイジャンGPのタイヤ戦略。ほぼすべてのドライバーがミディアムとハードの1ストップだった。

昨年2025年のアゼルバイジャンGPのタイヤ戦略。ほぼすべてのドライバーがミディアムとハードの1ストップだった。

【参考】2025年F1第17戦アゼルバイジャンGP決勝 結果  

1位 1 M.フェルスタッペン(レッドブル・ホンダRBPT)51周
2位 63 G.ラッセル(メルセデ ス)+14.609s
3位 55 C.サインツ(ウイリアムズ・メルセデス)+19.199s
4位 12 K.アントネリ(メルセデス))+21.760s
5位 30 L.ローソン(レーシングブルズ・ホンダRBPT)+33.290s
6位 22 角田裕毅(レッドブル・ホンダRBPT)+33.808s
7位 4 L.ノリス(マクラーレン・メルセデス )+34.227s
8位 44 L.ハミルトン(フェラーリ)+36.310s
9位 16 C.ルクレール(フェラーリ)+36.774s
10位 6 I.ハジャー(レーシングブルズ・ホンダRBPT)+38.982s

アゼルバイジャンGP開幕を前に、タイヤを供給するピレリは「最も軟らかいコンパウンド、ハード=C3、ミディアム=C4、ソフト=C5の3種類を供給します。昨年はこれより1段階軟らかい組み合わせでソフト=C6でしたが、レースではC6は使用されませんでした。11人がC5(ミディアム)、9人がC4(ハード)でスタートし、ほとんどのドライバーが1ストップで走り切りました。バクーではタイヤの温度管理が重要ですが、比較的スムーズで摩耗の少ないアスファルトのため、タイヤの摩耗とデグラデーションは非常に低いと予想され、決勝では1ストップが最も有力なシナリオとなるでしょう」と分析している。

画像: アゼルバイジャンGPを前にピレリが公開した分析データ。

アゼルバイジャンGPを前にピレリが公開した分析データ。

第17戦アゼルバイジャンGPは9月24日木曜日12時30分(日本時間17時30分)から始まるフリー走行で開幕する。

2026年F1第15戦アゼルバイジャンGP タイムスケジュール

フリー走行1回目:9月24日12時30分〜13時30分(日本時間17時30分〜18時30分)
フリー走行2回目:9月24日16時〜17時(日本時間21時〜22時)
フリー走行3回目:9月25日12時30分〜13時30分(日本時間17時30分〜18時30分)
予選:9月25日16時〜17時(日本時間21時〜22時)
決勝(51周):9月26日15時〜(日本時間20時〜)

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