片道数kmの通勤や買い物に、自分専用の足が欲しい。けれど原付は雨と暑さ寒さがつらく、軽自動車をもう1台持つには負担が大きい。そこで目を向けたいのが、普通免許で乗る一人乗りのミニカーEV「Lean3」だ。エアコン付きのキャビンで最高60km/h、航続は約100km、価格は税込169万8000円からとなっている。

文: 石川順一
▶▶▶写真はこちら|リーンモビリティ「Lean3」(画像6枚)

片道6kmのために、クルマもう1台はちょっと余分

職場まで片道6km。電車だと駅から遠いし、バスは本数が少ない。軽自動車があるにはあるが、子どもの送り迎えや介護のいる両親のために家族も使う。

それならと自分用に原付をとも考えたが、雨の朝はカッパを着込まなきゃならないし、夏の日差しも冬の風も体で受けて走ることになる。電動アシスト自転車では、6kmの道のりと帰りの坂道がつらい。

かといって2台目の軽自動車を持てば、駐車場も維持費も1台分ずつ増える。一人で乗るだけなのに、クルマ1台分の負担を抱えるのは割に合わない。

求めているのは、雨や暑さ寒さをしのげて、いまの駐車場の隅に収まる。そんな自分ひとり分の乗り物だ。

バイクの爽快さとクルマの利便性のいいとこ取り

そんな隙間を狙った一人乗りの三輪EVがリーンモビリティ「Lean3」だ。タイヤが前に2本、後ろに1本というリバーストライクタイプで、車両区分は、第一種原動機付自転車の「ミニカー」となっている。原付の仲間のように聞こえるが、公道では道路交通法上の「自動車」として走る。だから運転に必要なのはAT限定を含む普通自動車免許で、原付免許やバイクの免許では乗れない。

画像1: バイクの爽快さとクルマの利便性のいいとこ取り

裏を返せば、走り方はクルマとほぼ同じということだ。最高速度は60km/hで、クルマの流れに乗って走れる。ヘルメットはかぶらなくていいし、交差点での二段階右折も要らない。朝きれいに整えた髪型を、ヘルメットで崩される心配もないわけだ。高速道路と自動車専用道路は走れないが、自宅周辺の普段使いならそれで十分だろう。メーカーが「狭い道でもスイスイ走る」とうたうとおり、むしろ住宅街の細い道のような生活道路でこそ、持ち前の身軽さが生きてくる。

そしてなにより魅力的なのが、車体をぐるりと囲む全周型のキャビンだ。エアコンとパワーウインドウも備えている。たとえば梅雨の朝なら、玄関でカッパを着込む代わりに、傘を差して数歩歩けば乗り込める。真夏の帰り道は、窓を閉めてエアコンを入れてから走り出せば快適な移動になるというわけだ。

画像2: バイクの爽快さとクルマの利便性のいいとこ取り

運転席まわりも、一人用の空間として作り込まれている。シートは前後にスライドし、背もたれの角度を変えられるため、自分にとって快適なシートポジションを探せる。それにUSB Type-Cの電源ポートが2口あるので、スマートフォンをナビ代わりに使いながら充電しておくことだって可能だ。

画像3: バイクの爽快さとクルマの利便性のいいとこ取り

荷物についても抜かり無い。座席の後ろには細身のゴルフバッグを縦に立てて積めるうえ、運転席脇の床には長さ1mほどの傘を寝かせておける余裕まである。たとえば週末の打ちっぱなしなら、クラブを積んで一人で気軽に出かけられる。

ここまではクルマらしい部分だが、バイクのような面もある。それがキャビンに覆われた全天候型の車両ながら、カーブに合わせて最大28度まで車体が傾くという点。走行状況と車体の姿勢をリアルタイムで読み取って、適切な傾きを保ってくれる。メーカーが「安心して身体を預けられる」とうたう安定感のうえで、クルマでは味わえないバイクのような爽快な走りを楽しめるというわけだ。

画像4: バイクの爽快さとクルマの利便性のいいとこ取り

かといって駐車時はバイクのようにどちらかへ傾くということはない。しかも傾斜のある場所では車体を自動で水平に保つ機構もアリ。毎日の乗り降りや荷物の積み降ろしが簡単になるように考えられている。

充電は家のコンセントでOK。置き場所にも困らない

航続距離は約100km。職場との往復なら12km。月曜から金曜まで走っても60kmで、まだ4割ほど余力が残る計算だ。

バッテリーは容量8.1kWhのリン酸鉄リチウムイオン電池で、付属の充電器を家庭用のコンセントにつないで充電する。充電器のプラグは200Vの壁コンセントに合う形だが、純正アクセサリーの変換コネクターを使えば、一般的な100Vのコンセントからも充電できる。ケーブルは充電器からコンセント側が約2m、車側が約1.5mあるので、駐車場の近くにコンセントがひとつあれば事足りる。街なかのEV用充電スタンドは規格が違って使えないが、そのぶん充電は家で完結し、充電スポットを探して回る必要もない。ガソリンスタンドに立ち寄る代わりに、帰宅したらプラグを挿しておくだけだ。充電時間はAC100Vで約7時間、AC200Vで約5時間。たとえば夜9時にAC100Vでつないでおけば、朝4時ごろには満充電になる計算で、寝ているあいだに翌日のぶんがたまる。

電気代も、身構えるほどではない。全国家庭電気製品公正取引協議会が示す電力料金の目安単価は、税込みで1kWhあたり31円。これで計算してみよう。8.1kWhのバッテリーを満たしても約250円。航続距離の約100kmで割れば、1kmあたりたった2.5円程度だ。毎日の往復12kmなら、電気代は30円ほどに過ぎず、驚くほど経済的だ。

とはいえ、長く乗るうえで気になるのは、やはりバッテリーの寿命だろう。Lean3は駆動用バッテリーについて、8年または10万kmのあいだ、健全度70%以上を保証するようになっている。年250日の出勤に使うと考えた場合は、1日に最大航続距離の半分、50km分乗ってぴったり10万kmとなる。近場の移動として考えれば十分な保証といえるだろう。ちなみにメーカー保証は3年または6万km、ステアリングやブレーキまわりの重要な部品なら5年または10万kmと、こちらも普通車と同等のしっかりとした内容だ。

置き場所についても気になるところだろう。Lean3の車体は全長2,480mm、全幅970mm、全高1,575mm。軽自動車の規格である全長3.40m・全幅1.48mと比べると、長さ92cm、幅51cmと一回りは小さい。そのコンパクトさは、乗用車1台分の一般的な駐車スペースに2〜4台を置けるということからも想像しやすいだろう。新しい駐車場を借り足さずとも、いまの駐車場の余白に入る可能性だって十分あるサイズ感だ。

思い立ったら、自分の一台ですぐ出かけられる毎日

価格は税込169万8000円から。日本自動車工業会の2025年度の調査では、軽乗用車を新車で買った人の平均購入価格は196万円なので、それよりひと回り手の届きやすい価格帯だ。しかも国のCEV補助金の対象となるよう、メーカーが手続きを進めている。対象に決まれば、負担はさらに軽くなる。キーレスエントリー&プッシュスタートは本来5万5000円のオプションだが、いまはサービスとして全車に付く。

注文は一部を除く、全国のオートバックスカーズ店舗で受け付けている。納車は2026年10月から順次始まる予定だ。ただし、これから成約した場合は2027年3月頃以降となる見込みで、生産状況によって前後することもある。気になる方は早めに最寄りのオートバックスカーズ店舗へ話を聞きに行ってみよう。10月以降は一部の店舗で展示と試乗も始まる予定なので、実車の大きさを自分の家の駐車場と見比べてみるといい。

雨でも、暑くても、寒くても家族に気遣うことなく自由を手にする。カーブで車体と一体になる面白さを感じながら、快適な車内に身を任せて片道6kmの職場へ向かい、帰りにはスーパーに寄って、夜はコンセントにプラグを挿して余計なことは考えずに就寝。Lean3が叶えるのは、そういう日常だ。

画像: カラーバリエーションは3種類。

カラーバリエーションは3種類。

リーンモビリティ Lean3 主要諸元

・車両区分:第一種原動機付自転車(ミニカー)
・必要な運転免許:普通自動車免許(AT限定可)
・乗車定員:1名
・全長×全幅×全高:2,480mm×970mm×1,575mm
・ホイールベース:1,795mm
・車両重量:約510kg
・最高速度:60km/h
・航続距離:約100km(WLTC Class 1値)
・タイヤサイズ:フロント90/90-14、リヤ150/70-14
・バッテリー:8.1kWh(LFP:リン酸鉄リチウムイオン電池)
・充電方式:家庭用AC100V/AC200Vコンセント(付属充電器。100Vは純正アクセサリーの変換コネクターを使用)
・充電時間:約5時間(AC200V)/約7時間(AC100V)※電源がEV充電に使用して問題ないことを確認した場合
・主要装備:エアコン、パワーウインドウ、デジタルメーター、プッシュ式シフト 等
・安全装備:ELR付3点式シートベルト、車両接近通報装置、アクティブ・リーン・システム、前後ディスクブレーキ 等
・ボディカラー:ホワイト、シルバー、イエロー(オプション4万4000円)
・価格:169万8000円〜(税込、補助金含まず)
・保証:車両一般3年または6万km/重要部品5年または10万km/駆動用バッテリー8年または10万km(SOH70%以上)
・販売:全国のオートバックスカーズ店舗(一部を除く)。2026年8月26日受注開始、2026年10月より順次納車予定

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