文: 石橋 寛/写真: RM Sotherbys
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名匠テルツォ・ダリアが紡ぐ「1:3スケール」の衝撃
コレクターたちの度肝を抜いたのは、イタリアの名匠テルツォ・ダリア(Terzo Dalia)氏の手によって生み出された「1961年フェラーリ 250 GT SWB 1:3スケールモデル」。同氏は、フェラーリから公認されたという至高の職人であり、彼の作品はマラネロのフェラーリ・ミュージアムでも特等席に展示されるレベル。

作者のテルツォ・ダリア氏はエンツォ・フェラーリのお気に入りだったとのことで、マラネロの公認モデラーとなっています。
この1:3スケールモデルは、一般的なミニチュアカーの枠をはるかに超越した「ミュージアムクオリティのアートピース」として、コレクターの間では破格の扱いを受けているのだとか。驚くべきは、その製作背景と素材へのこだわりで、このモデルには、プラスチックや接着剤は一切使用されていません。実車のマラネロ工場と同じ伝統的な手法を用い、砂型鋳造アルミニウム、削り出しのステンレス、真鍮、銅といった本物の素材だけで構成されているのです。

1/3スケールと聞かなければ、実車のスケルトンと見まごう仕上がり。SWB独特のカーブを描いたフェンダーラインも見事に再現。
製作期間も驚きで、実車の構造をあまりにも忠実に再現するため、マスターモデルを組み上げるのに約1年という膨大な時間だとか。それゆえ、作品ごとに世界限定50台〜99台といった極めて少ない数しか世に送り出されず、すべての作品にシリアルナンバー入りの品質証明書が付属する、真の限定品となるわけです。
中身を魅せる「トレリス&エンジンモデル」
オークションに出品され、特に大きな話題を呼んだバリエーションのひとつが、ご紹介している250 GT SWBの美しい骨格をそのまま可視化した「トレリス(鳥籠フレーム)&エンジンモデル」です。全長は実に54インチ(約137cm)、総重量は36ポンド(約16.3kg)にも達し、リビングや書斎に飾った際の存在感は圧倒的。実車同様のチューブラー(鋼管)フレームが張り巡らされ、1本1本が精密に溶接されています。フード部分などのフレーム構造は取り外しが可能となっており、V12エンジンを心ゆくまで堪能できるという仕掛けも嬉しい限り。

アルミの格子グリルやヘッドライトのリムなど、実車と同じ素材、製法でスケールダウンしているのが大きな特徴です。
名機コロンボV12の魂を宿す「エンジン単体モデル」
さらに、もうひとつの傑作が伝説の名機「コロンボV12エンジン」を完璧に縮小再現した「エンジン単体」にほかなりません。400個以上の精密パーツ(26個の砂型アルミニウム部品、30個以上のステンレス削り出し部品など)を、約160〜260本以上の極小ネジだけで組み上げ、内部のクランクシャフト、コンロッド、そして12個のピストンすべてが実車同様に連動するギミックを備えているのです。

名機コロンボ・ユニットもまた精密な出来栄えで、素材や結晶塗装、果ては微細なバッヂまで再現しているというから驚きです。
無論、ディテールへのこだわりも徹底され、フェラーリ伝統の「結晶塗装」が施された真っ赤なバルブカバー(いわゆるテスタロッサ)をはじめ、微細なバッジまで再現された6基のウェーバー製キャブレター。さらにはオイルフィルターや配管、トランスミッション、ラバーブーツ付きのシフトレバーにいたるまで完全に再現。しかも、エンジン前面には、実車通りのシリンダー点火順序(Firing Order)が刻まれたデータプレートが誇らしげにリベット留めされており、眺めているだけで当時のエキゾーストノートが聞こえてくるかのようです。

エンジンがピストンからカムシャフトまで動くといいますから、ミッションケースも同様に可動してくれるはず(未公表)

バルブカバーを外してみると、ピストンヘッドの形状まで再現されているのが分かります。ウェーバーキャブの再現度にもご注目!
ガレージや書斎を彩る、もうひとつの「至高の資産」
ダリア作品は、当時の新品販売価格でも3万ドル(当時のレートで約450万円以上)という超高級品でしたが、現在は金型が破壊されているモデルもあるため、近年のオークションではその希少性と歴史的価値から、さらに高額なプレミア価格で落札されるケースが珍しくありません。

シリアルナンバーがゼロとなると、もしや最初に作られたサンプル(マスターモデル)という可能性もあり、お値段は想像もつきません。
本物の250 GT SWBを手に入れることは、世界でも限られた大富豪にしか許されない特権です。しかし、このテルツォ・ダリア氏の1:3モデルもまた、実車に劣らぬ情熱と職人魂が込められた、歴史に残り続けるべき工芸品。クルマの本質的な美しさが、スケールを超えて人々の心を揺さぶる好例といえるのではないでしょうか。

全長137cmといえば、ミニチュアカーとは呼びづらいサイズ。それだけに、存在感は強烈でマニア心も大満足⁉



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