違いがわかる、乗れば驚く
アクセラに続き、最新モデルとしての商品改良が実施されたマツダアテンザ。デビューしたのは2012年11月だが、すでに2014年にクリーンディーゼルと4WDモデルの投入/サスペンション熟成やシートクッション性能改良による快適性アップ/静粛性の向上/ヘッズアップコクピット採用などといった大がかりな商品改良が実施されており、今回はそれに引き続く2度目の商品改良となる。
その内容は、ディーゼルエンジンの精密過給制御/ナチュラルサウンドスムーザー&周波数コントロール採用、Gベクタリングコントロールの導入、フロントドア遮音ガラスの設定、ナッパレザーシート(専用カラーコーディネーション)とステアリングヒーター設定、フルカラー式アクティブドライビングディスプレイ採用など、多岐にわたっている。
新型アテンザの試乗にあたりマツダが用意したのは、まず従来型ワゴン(ディーゼル)に乗り、続いて新型アテンザセダン(ガソリン)、そして本命の新型アテンザワゴン(ディーゼル)に乗るというメニューだ。すべて6速AT、19インチタイヤ装着のFFモデルだったので、その進化の度合がわかりやすかった。
今回、新型ガソリンエンジンも改良されており、以前のモデルより細かな振動が低減されて回転フィールが緻密になった印象を受けたが、一番の違いは静粛性とハンドリングの向上だった。これは今回の主役モデル、ソニックシルバーメタリックカラーのアテンザワゴンXD Lパッケージに乗っても同様だった。
まず、Lパッケージモデルに標準装備(他モデルはオプション設定)されるフロントドア遮音ガラスは、静粛性の向上に大きな効果があった。停車中でも、隣にいるクルマのエンジン音が遠くに聞こえる。もちろん、最新型ディーゼルエンジン自体の音も改良によって静かさを増しているので走行中、車内の快適さはこれまで以上に増していると感じた。
さてディーゼルエンジンの「精密過給制御」だが、これで実現されたのは、ドライバーが期待するアクセルペダルの踏み込み速度/踏み込み量に応えた加速性能の獲得だという。従来型では常時、NOx排出量を低く抑えるという制御下でその加速性能が発揮されていた。新型では、たとえ加速初期のNOx排出量が高くなっても中期以後での排出量をより低く抑えることでトータル排出量としては増えていない、という制御を行うことで、初期の応答性を高めたというものだ。
その具体的な内容を聞いてみるとEGR(排気再循環)量をより精密にコントロールしてスロットルバルブ的に使う制御を採用、過給立ち上がり時の反応を高めて、環境性能は変えずに加感の向上が実現できた、ということのようだ。
アクセラに続いて搭載された、注目のGベクタリングコントロール機能だが、その効果はハンドル操舵の質感向上としても感じられた。ハードウェア的にはどこも変更されていないのだが、操舵する際の感触がその初期段階からとてもしっとりとして好ましい。クルマの動きそのものも落ち着きが増した印象で、アテンザの車格がワンランク上になったように感じられたのだ。最新アテンザの熟成ぶりは、とても歓迎できるものだと思えた。(文:香高和仁/写真:玉井充)
●主要諸元<アテンザ ワゴン XD Lパッケージ>
全長×全幅×全高=4805×1840×1480mm
ホイールベース=2750mm
車両重量=1560kg
エンジン=直4DOHCディーゼルターボ 2188cc
最高出力=129kW(175ps)/4500rpm
最大トルク=420Nm(42.8kgm)/2000rpm
トランスミッション=6速AT
駆動方式=FF
JC08モード燃費=19.6km/L
タイヤサイズ=225/45R19
車両価格=3,774,600円
※取材車両のボディカラーはソニックシルバーメタリック。タイヤはブリヂストントランザT001を装着。