第5回 5カ月目 8914km
今月の走行距離:1463km 燃費:1463km÷88.6L=16.5km/L
2015年1月24日〜2月20日
フットワークの手軽さを日々実感。
アップ!が、MM編集部の長期テスト車として導入されたのは昨年(2014年)10月中旬のこと。現在までに、4カ月半ほどの期間と6600kmあまりの距離を過ごしてきたことになる。担当者としてテストを開始した当初は、アップ!に対する「大丈夫なのかな?」という、一種の警戒心みたいなものがあった。しかしクルマへ慣れるに従って、その警戒心はよき相棒として信頼する気持ちに変わっていき、いまではすっかり気に入った存在になっている。
Dレンジに入れっぱなしのドライビングはゆったり感アリ。
そこで今回は、あえて気になる点について述べてみようと思う。まず、アップ!の特徴であるAMT(オートメーテッドマニュアルトランスミッション)についてだ。フォルクスワーゲンでは「ASG」と呼ぶこのトランスミッションだが、確かに日本でデビューした直後のモデルに比べれば、Dレンジ走行時のシフトチェンジ制御が改良されている。ギアを変速する際の、クラッチが切れている時間が短くなったのだ。だから緩加速では、ほぼ問題ない。しかし、たとえばアクセルペダルを強く踏み込んで加速したい時にシフトダウンが起きると、まだそのタイムラグにもどかしさが募る。Dレンジで走行中に平坦路から上り坂へさしかかり、そこで加速しようとアクセルペダルを踏み込んだ時や、ETCゲートを抜けて右足に力を込めた際などにシフトダウンさせてしまうと、下のギアへつながるまでに加速力がどんどん失われていくような感覚に包まれてしまうのだ。
マニュアル操作でシフトダウンすると快適に走れる。
ただし、これは簡単に回避できることでもある。そう、事前にセレクターを手前に引き、マニュアル操作でシフトダウンさせればいいだけの話なのだ。ただ、時にその操作を忘れてしまうと、このタイムラグを味わう事態となってしまう。そして、フロントドアに採用されるパワーウインドウの操作スイッチが左右ドアに1個ずつしか装着されていないことも気にはなる。ドアミラーは電動調整式だが、その格納は手動式。駐車する際にドアミラーを畳もうとすると、運転席から身体を伸ばして助手席の窓を開けて畳むという動作が必要になるが、その前に助手席側のスイッチでパワーウインドウを操作しなくてはいけない。
シンプルなだけに、アップ!の持ち味には魅了されるものが多い。
また、ルームミラーが手動防眩式なのも意識させられる点だ。このところ、後方車両のヘッドライトがやけに眩しかったりすることが増えているように感じるが、その度に手動で防眩仕様にする必要がある。と、言ってはみたものの、MMアップ!号の持ち味には魅了されるものが多い、というのもまた事実だ。