経営危機に陥った日産は、2000年8月にZ32型の生産・販売を終了。だが、水面下では次期型の開発は非公式ではあったものの、着々と進んでいた。そして2002年7月、とくに北米からの熱烈なラブコールに応え、新世代のZが登場した。(この記事は2017年5月10日発売の「ホリデーオート6月号」より一部抜粋して構成しています)
2年の雌伏期間を経て世界水準の性能で復活
2000年にZ32の生産・販売が終了し、新型の開発も凍結された。Z消滅かと思われたが、ゴーンCEOの号令一下、開発を再開。2年のブランクを経て登場したのがZ33だ。
凝縮感のある低重心ボディはCd値0.30&フロントゼロリフト(標準車)というクラストップの空力性能を実現。これにフロントミッドシップのFMパッケージ(前後重量配分53:47)、高剛性新ボディ構造、前後異サイズのポテンザRE040、ホイールベースの中央付近に乗員を配置したスポーツドライビングポジションなどの要素を加えた新FRスポーツパッケージで、21世紀のスポーツカーの理想像を追求した。
エンジンは当初280psのVQ35DEでスタートしたが、発表時の「Zは毎年進化する」の言葉を裏付けるように、05年のマイナーチェンジで294ps(6速MT)にパワーアップ。07年の一部改良でVQ 35HR(313ps)に換装と目まぐるしく進化していく。ただ、プラットフォームとエンジンをスカイラインと共用する制約があったため、性能的には世界水準に達していたが、スポーツフィールではその点でピュアなポルシェに及ばなかったのが惜しまれる。
04年~08年にかけてニスモが手がけたスペシャルモデルが発売され、市販モデルではやり切れない味付けを次々と提案していったのも、そんな背景があったからかもしれない。