文:木村好宏/写真:Kimura Office
性能や仕上がり、そして価格と三拍子揃ったフォルクスワーゲン アトラス
昨年販売台数でトヨタを抜いて世界ナンバーワンの地位を獲得したフォルクスワーゲンだが、中国では確かな台数を稼いでいる一方、北米では10年以上にわたって不振で、2016年のフォルクスワーゲンブランド販売台数はわずか21万台であった。245万台を販売したトヨタの10分の1以下だ。そこでこうした状況を打破しようと、昨年からさまざまな新戦略を展開している。
とりわけ重要な課題は、いかに北米市場にマッチしたモデルを投入することができるか。そこで、フォルクスワーゲンは13年の北米国際モーターショーでビッグサイズSUV「クロスブルー」コンセプトを発表、9億ユーロ(約1170億円)を投じて、テネシー州チャタヌーガ工場からその市販モデルを出荷する体制がようやく整った。そして今回、テキサス州サンアントニオで、先行試乗会が行われたというわけだ。
市販されるモデル名は、アトラス。ボディサイズは全長5037mm、全幅1979mm、全高1768mmで、ホイールベースは2980mmと、パサートをはるかに超える大きさを持っている。
搭載されるエンジンは238ps/350Nmを発生する2L直4直噴ターボと、276ps/360Nmを発生する3.6L V6の2種類が用意されており、ともにアイシンAW製8速ATが組み合わされる。ただし、4気筒モデルの生産は少し遅れるようで、今回の試乗会ではV6エンジン搭載の4モーション(4WD)のみが用意されていた。
アトラスのデザインはアメリカ市場に存在するライバルを意識した力強いものだ。とくにフロントグリルの水平メッキバー、前後のホイールアーチを強調したサイドパネルの深いプレスラインなどが、テキサスの広大な背景にも埋没しない逞しさを放っていた。
一方、オプションの3列シートがレイアウトされたインテリアは十分な広さを持っており、荷室は583Lから最大で2741Lにまで拡大可能である。またコクピットにはオプションでフルデジタルのバーチャルディスプレイを装備することができる。当然のことながらスマートフォンとのインテグレーション、アップルカープレイ、アンドロイドオート、そしてミラーリンク機能も標準で装備されている。(後編はこちら→http://web.motormagazine.co.jp/_ct/17074592)