個性、品質、国際的な競争力など、国産車の実力が一気にレベルアップした平成初期から中期にかけて登場した名車を振り返る期間限定の連載。今回は1990年、平成2年に登場したスペシャリティクーペ、ユーノス コスモにスポットを当ててみましょう。

ユーノス コスモは、当時マツダが展開していた販売チャネルのひとつ、ユーノス店のフラッグシップクーペとして登場したモデルです。

画像: 1305mmという全高は、当時の 2ドアスポーツカーに迫る低さ。

1305mmという全高は、当時の 2ドアスポーツカーに迫る低さ。

画像: ルーフ後端の出っ張りは、CCS用のGPSアンテナ。

ルーフ後端の出っ張りは、CCS用のGPSアンテナ。

全長4815×全幅1795×全高1305mmというロング&ローなボディスタイルの持ち主でした。当時の国産 2ドア車としては大柄ですが、後席のスペースは最小限にした 2+2 でした。

画像: 「3ROTOR」の文字が輝く20B。300ps以上を前提に開発されていた。

「3ROTOR」の文字が輝く20B。300ps以上を前提に開発されていた。

エンジンは3ローターのツインターボエンジン「20B」と2ローターでこちらもツインターボの「13B」の2機種を用意。20Bのスペックは最高出力280ps/6500rpm、最大トルク41.0kgm/3000rpmでしたが、その加速力から「実際には300psを超えている」とまことしやかに言われていました。

一方、13Bのスペックは最高出力250ps/6500rpm、最大トルク30.0kgm/3500rpmと、20Bよりも控えめでしたが、重量バランスとピックアップの良さでは13Bの方が上と評されていました。トランスミッションは、20B、13Bともに4速ATが組み合わされ、MTの設定はありませんでした。

画像: イグニッション OFF時には照明類はすべて消え、メーターパネルなどは完全にブラックアウトされる。

イグニッション OFF時には照明類はすべて消え、メーターパネルなどは完全にブラックアウトされる。

画像: 電動リクライニング、電動スライドが運転席と助手席に、電動チルト、電動ランバーサポート、電動サイドサポートを運転席に装備。

電動リクライニング、電動スライドが運転席と助手席に、電動チルト、電動ランバーサポート、電動サイドサポートを運転席に装備。

内装は先進的な外観に負けない斬新なデザインを採用。とくに最上級グレードの「20B タイプE CCS」の作りは極めてゴージャスで、シートやステアリングはもちろん、ダッシュボードやドアトリムにも本革を使用。さらに世界で初めて実用化されたGPSナビゲーション、オーディオ、テレビ、電話機能を一体化した CCS(カーコミュニケーションシステム)も搭載するなど、まさにバブル期のクルマでした。

価格は最上級の「20B タイプE CCS」は530万円、最もリーズナブルな「13B タイプS」は330万円でした。

このように、豪華さ、先進性、凝ったメカニズムをテンコ盛りにしたユーノス コスモでしたが、バブル崩壊などの煽りを受け販売は低迷。ユーノス店がマツダ店とマツダアンフィニ店に統合された1996年に、ユーノス コスモもひっそりと姿を消したのです。

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