ユーノス コスモは、当時マツダが展開していた販売チャネルのひとつ、ユーノス店のフラッグシップクーペとして登場したモデルです。
全長4815×全幅1795×全高1305mmというロング&ローなボディスタイルの持ち主でした。当時の国産 2ドア車としては大柄ですが、後席のスペースは最小限にした 2+2 でした。
エンジンは3ローターのツインターボエンジン「20B」と2ローターでこちらもツインターボの「13B」の2機種を用意。20Bのスペックは最高出力280ps/6500rpm、最大トルク41.0kgm/3000rpmでしたが、その加速力から「実際には300psを超えている」とまことしやかに言われていました。
一方、13Bのスペックは最高出力250ps/6500rpm、最大トルク30.0kgm/3500rpmと、20Bよりも控えめでしたが、重量バランスとピックアップの良さでは13Bの方が上と評されていました。トランスミッションは、20B、13Bともに4速ATが組み合わされ、MTの設定はありませんでした。
内装は先進的な外観に負けない斬新なデザインを採用。とくに最上級グレードの「20B タイプE CCS」の作りは極めてゴージャスで、シートやステアリングはもちろん、ダッシュボードやドアトリムにも本革を使用。さらに世界で初めて実用化されたGPSナビゲーション、オーディオ、テレビ、電話機能を一体化した CCS(カーコミュニケーションシステム)も搭載するなど、まさにバブル期のクルマでした。
価格は最上級の「20B タイプE CCS」は530万円、最もリーズナブルな「13B タイプS」は330万円でした。
このように、豪華さ、先進性、凝ったメカニズムをテンコ盛りにしたユーノス コスモでしたが、バブル崩壊などの煽りを受け販売は低迷。ユーノス店がマツダ店とマツダアンフィニ店に統合された1996年に、ユーノス コスモもひっそりと姿を消したのです。