サイドビューを深掘る:スポーツカーのシルエットに刻まれた「劇的」
公式リリースで真っ先に語られているのは、そのシルエットに関するアピールだった。BMWコンセプト8に関しては正式発表の2週間ほど前、コンソルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステでの公開が予告されている。その時にリリースされた画像は、長いボンネットからフロントウインドー、ルーフを経て、テールランプに続く流れるように繊細な造形美をシルエットで「浮かび上がらせて」いた。
そのシルエットには「爽快感あふれるクリーンなイメージ」が漂う。同時に「目が釘付けになってしまいそう」なほど刺激的な演出が、随所に配されているという。低くそして力強いフォルムは、ダイナミックな走りのオーラを周囲に印象付け、リアエンドに向けて跳ね上がったスイープラインが個性あふれるリアビューの大胆不適ぶりをことさら強調してみせる。このサイドシルエットの「大盤振る舞い」だけで、ドライバーはすでに「BMWコンセプト8」が秘める卓越したダイナミック性能の虜になってしまうのかもしれない。
フロントエンドを深掘る:ロー&ワイドのスポーティフォルム
大型のキドニーグリル、スリムなツインヘッドライト、大型エアインテークは、印象的でスポーティなBMWらしいフロントエンドのグラフィックを形づくっている。伝統的なデザインテンプレートを備えつつも、あたらしい解釈が盛り込まれた。フォーマットはトラディショナルだが、決して古臭さを感じさせない。BMWの設計哲学には、新たなアプローチ手法が加えられたようだ。
たとえばふたつのキドニーグリルは、路面に対して非常に低い位置に配されている。そうしたデザインのインスピレーションは、伝統的なBMWクーペから受け継がれたものだという。グリルは一体成型されているように見える。ダイナミックな顔立ちに、豊かで上質な広がり感を与えている。
後ろ姿を深掘る:フロントのモチーフを受け止めつつ、エモーショナル感も表現
鋭い目つきといい容赦なく開けられたインテーク系のアレンジといい、どちらかといえば純粋培養の「ダイナミック性能」を主張しまくっているフロントマスクに対して、後ろ姿は意外なほど繊細で情緒的な仕上がりだ。とくに複雑なRを描いた面の美しさが、目を引く。
巨大なホイールアーチは、後輪駆動であることをはっきりと主張するもの。そこからルーフに向けて絞り込まれたキャビンの形状もまた、「ドライバーコンシャス」を明快に見せつけてくる。エプロン部分のカーボンファイバー製ディフューザーも、さらに軽快なイメージを生んでいる。台形のエキゾーストも含めて、洗練されたスポーティ感を巧みに演出しているようだ。<その3 ◎インテリア編につづく>