画像認識プロセッサ「Visconti™」など、最先端を走るソリューション群
もともと東芝の自動車関連事業は、社内カンパニーのひとつである「東芝ストレージ&デバイスソリューション(SDS)社」で進められてきた。2013年の東京モーターショーの頃には、急加速する自動車のIT化と電子化に牽引される形で、車載用半導体を中心に成長が見込めるジャンルとして、注目を浴びていた。
具体的なプロダクツとしては、先進運転システムをはじめとする安全関連のデバイスや、HEVとEV全般に関するソリューションを提供している。さらにヘッドアップディスプレイのようなドライビングインフォメーション関連や、カーエンタテインメントなどの情報機器についても力を注いできた。たとえば先進運転支援システムの要とも言える画像認識の技術に関しては「Visconti™」と名付けられた優秀なプロセッサを開発、前方認識用としてはすでに実際の製品に使われている。
サイドミラーの死角をデジタル処理で最少化。これは見やすいかも
今回、人テクで展示されていた次世代コクピットソリューションは、「ドライバーのストレスを軽減させる」ことをもっとも重視した、SDS社が誇る最新テクノロジーの集合体だ。自動運転の普及に対応して、クルマが「なにを見ているのか」をドライバーに伝える前方監視アプリケーションには、「Visconti™」が採用されている。
同じくSDS社独自の画像合成技術を使った提案としてユニークだったのが、サイドとリアのカメラが捉えた画像を合成処理して、ドアミラーの死角をほぼなくしてしまった技術だ。本来なら自車のボディで隠れてしまうエリアを走るクルマなどを、別のカメラが撮影した後方の画像と合成する。ディスプレイ上には半透明化したクルマのボディ越しに、死角から迫る後続車を確認することができた。
ちょっとだけ真面目に「これからのSDS社」を調べてみた。
東芝本体の未曾有の経営機器を受けて、半導体事業の中でもメモリ事業とSSD事業をさらに分社化することが発表されるなど、SDS社の動向はまだ明確になりきってはいない。とはいえ、2017年10月には「東芝」の冠が外れたSDS事業会社となり「自立した事業体として、事業価値最大化に集中」(4月24日に公式発表されたリリースより抜粋)することが明らかになっている。分社された各会社は、それぞれの傘下にある企業体を直接子会社化するというから、素早い意思決定や、効率の良い研究開発といったメリットが生まれてくるのかもしれない。(東芝の分社化に関する情報は、5月末日現在の資料をもとに構成)