XC60は人気のミドルSUV
ボルボが社運をかけて新開発した大型プラットフォーム、SPA(スケーラブル・プロダクト・アーキテクチャー)。
これを採用したニューモデルは、昨年1月のXC90を皮切りにS/V90など続々と上陸していて、いずれも評判が良いけれど、今回紹介する新型XC60は、その成功をさらに確実なものにしそう。なぜなら、ミドルSUVであるXC60は、ボルボの全生産数で30%を占める超人気モデルだからだ。
スペインの国際試乗会に用意されていたのは、ターボとスーパーチャージャーのツインチャージガソリンエンジンで320ps/400NmのT6 AWDと、235ps/480Nmというディーゼルの最強力版D5 AWDの2モデル。ただ、D5の導入予定は今の所ないそうで、日本向けのディーゼルは当面190psのD4 AWDになる模様。というわけで今回はT6 AWDを中心に試乗した。
45扁平20インチタイヤでも乗り心地抜群
走り出して最初に感心したのが乗り心地の良さだ。SPA採用モデルはいずれも足まわりのしなやかな動きが好印象だが、XC60はさらに熟成が進んでいた。
255/45R20というタイヤサイズにも関わらず、ドタつくことは皆無でスムーズかつしっとりとした乗り味。試乗車はオプション設定のエアサス+可変ダンパーを装備していたが、硬めのセットとなるダイナミックモードでも快適性はまったく犠牲になっていなかった。
エンジンは高回転域を多用すると4気筒独特のビートが少し耳に届くものの、低速域からトルクがある上に、8速ATが実に賢いシフトを行うので動力性能的には十分。
D5の凄みのあるトルク感も良かったが、T6はガソリンらしいシャープな回転フィールとダイナミックな加速感が魅力となっていた。
安全装備はさすがの“ボルボ”品質
さらに、脇見などで対向車線にはみ出したとき、自動ステアで車線に戻すオンカミング・レーン・ミディケーションが加わった上に、側後方から近づく車両を警告するBLISにも、気付かずレーンチェンジを始めると車線に押し戻すステアリングサポートが加わるなど、得意技の安全装備にもより一層の進化が見られた。
日本登場は2017年10月予定
手頃なサイズ感のボディに、充実の安全装備と上質な走りを詰め込んだ新型XC60が再び人気を得るのは間違いなさそう。上陸は10月、東京モーターショーのアトリウムに展示予定とのことだ。
文:石川芳雄/写真:ボルボカージャパン
ボルボXC60 T6 AWD 諸元
●サイズ=4688×1902×1658mm●ホイールベース=2865mm●エンジン=直4DOHCターボ+スーパーチャージャー 1969cc●最高出力=320ps/5700rpm●最大トルク=400Nm/2200-5400rpm