文:佐藤久実/写真:BMW ジャパン
BMW 430i カブリオレのシャシは変更なしながら熟成が進んだ実際の乗り味
デザインコンシャスとはいえ、もちろん、4シリーズもBMWらしい「駆けぬける歓び」を備える。3シリーズに対してワイドトレッド化されて車高も低く、重心高も40mm低いと聞くだけでも、ハンドリングへのこだわりがわかる。ロングホイールベース、フロントエンジン/リア駆動、前後重量配分50:50というBMWならではの要素を揃えるが、あえて発表当初から“デザイン”をアピールしたのだ。そのおかげで、デザイン感度が高いユーザーに受け入れられているのだから、この戦略は見事に成功しているといえる。
![画像: 4シリーズカブリオレ(クーペも)のリアビューはLEDリアライト採用、バンパー下部のエプロン形状が変更された。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2017/06/29/e3cd75f417251e018a86607a2db6291d533ff219_xlarge.jpg)
4シリーズカブリオレ(クーペも)のリアビューはLEDリアライト採用、バンパー下部のエプロン形状が変更された。
今回、クーペとグランクーペはシャシも改善されている。ダンパーの減衰力変更により、乗り心地を損なうことなくハンドリングの向上を狙ったとのこと。しかし、カブリオレは“速さ”を求めるユーザーは少ないとの理由から、シャシの変更はないという。それならクーペに乗りたかったなと思いながら走ると、あれ? ステアフィールが違う。軽さと手応えのバランスが良く、スムーズなフィーリングだ。そして、ブレーキのタッチも良い。ダイナミックな走り以上に、日常域で実感できる質感の向上があり、むしろカブリオレオーナーにとってはベネフィットが大きい。そもそも、十分なダイナミック性能は持ち合わせているわけで。
最新の4気筒ターボエンジンも豊かなトルクがあり、速さよりもゆとりを求めるカブリオレのキャラクターにマッチしている。この乗り心地と心地よいエンジン特性で、のんびりとツーリングを満喫できた。
![画像: 【海外試乗】BMW 430i カブリオレは、日常域の質感も好ましく進化【後編】](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2017/06/29/669ce2dc5d2b12f7df0d95089db6f3fbcd0a1b29_xlarge.jpg)
![画像: 堅固なメタルトップを採用するので、クローズドした状態ならば、クーペモデルに近い快適性が確保されている。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2017/06/29/d24a2d058d48a78171d15530ef0cdd8552af2026_xlarge.jpg)
堅固なメタルトップを採用するので、クローズドした状態ならば、クーペモデルに近い快適性が確保されている。
![画像: トップの開閉はそれぞれ約20秒で完了する。およそ18km/hぐらいまでなら、走行中でも操作が可能な設定。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2017/06/29/694de7b7d8e21147ba9d74b4223c0d0ca7fa16cf_xlarge.jpg)
トップの開閉はそれぞれ約20秒で完了する。およそ18km/hぐらいまでなら、走行中でも操作が可能な設定。
![画像: ちゃんとした4シーターという点は4シリーズカブリオレの大きな特徴。またメタルトップならではの耐候性の高さも魅力だ。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2017/06/29/e8c880418f4cefeb1fadc9c83ede542b8ff01648_xlarge.jpg)
ちゃんとした4シーターという点は4シリーズカブリオレの大きな特徴。またメタルトップならではの耐候性の高さも魅力だ。
![画像: インテリアはBMWらしい気品と実用性を備える。日本に導入されるのは、3L直6ターボエンジン搭載の440iカブリオレ。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2017/06/29/c8ce302e20a376b670072198bfb72a671058b37c_xlarge.jpg)
インテリアはBMWらしい気品と実用性を備える。日本に導入されるのは、3L直6ターボエンジン搭載の440iカブリオレ。
ところで、試乗会の2週間前にドイツを訪れた際は暖かく、すっかり春だったのに今回、4月半ばを過ぎたミュンヘンではみぞれが舞っていた。そして寒いのだ。残念ながら、まったく持ってオープン日和とは言い難い状況だった。そして試乗コースは、ミュンヘンからオーストリアのザルツブルク方面に向かうもの。どんどん標高が高くなるに連れて、外気温度計の数字も見る見るうちに低くなり、ついにはマイナス6℃に。
結局、最後までトップを開けることはなかった。しかし、クローズドでは静粛性が高く、オープンを感じさせない高い快適性を確認できた。オープンカーは、常にオープンにして走るわけではなく、実はクローズド性能が、とても大事なのである。
BMW 430i カブリオレ 主要諸元(EU準拠)
●サイズ:4640×1825×1384mm ●ホイールベース:2810mm ●車両重量:1785kg ●エンジン:直4 DOHCターボ・1998cc ●エンジン最高出力:185kW(252ps)/5200rpm ●最大トルク:350Nm/1450-4800rpm ●駆動方式:FR ●トランスミッション:8速AT