文:竹花寿実(Kimura Office)/写真:BMW AG
42kmのEV航続距離とJCWバージョンに匹敵する加速性能をもつ
2016年11月にロサンゼルスオートショーでワールドプレミアとなった2代目MINIカントリーマン(日本名:MINIクロスオーバー)は、当初からMINIブランド初となるPHEVが追加されるとアナウンスされていた。その「MINIクーパーS E カントリーマン オール4」が欧州で受注開始となり、6月24日に発売された。今回はこれに先駆けて、5月にスペイン バルセロナで開催された国際試乗会で、その走りを体験した。
新しいMINIカントリーマンは、先代モデルと比べ、ひとまわり大きいボディサイズとなり、ホイールベースは75mmも延長されている。これはBMWグループの新世代FFプラットフォーム「UKL2」を採用したためだ。このプラットフォームを用いたことで、PHEVを設定することが可能になったのである。
MINI クーパーS E カントリーマン オール4は、フロントに最高出力136psの1.5L 直3ターボエンジンを搭載し、6速ATを介して前輪を駆動する。そしてリアアクスルには88psを発揮する電気モーターが備わり、後輪の駆動を受け持つ。つまりBMW 225xeアクティブツアラーや、中国で販売されているX1 xDrive 25Le iパフォーマンスと同様のハイブリッド4WDシステムを採用しているのだ。
システム最高出力は224ps、最大トルクは385Nm。192psを発生する2L直4ターボを積むクーパーSを軽く上まわる。また、231psを絞り出す専用チューンの2L直4ターボを搭載したJCWカントリーマン オール4の350Nmという最大トルクを上まわる。
電気モーターやリチウムイオンバッテリーを搭載するため、車両重量は1660kgと、クーパーSより155kg、JCW(ジョンクーパーワークス)バージョンより45kgも重いが、発進時から最大トルクを発生させる電気モーターにより、0→100km加速は6.8秒と、JCWバージョンに0.3秒引けを取るものの、クーパーSを0.7秒凌駕する。
実際の走りもとてもパワフルだ。今回はバルセロナの市街地と高速道路、そしてモントセニという山へ続くワインディングロードを走ったのだが、加速時に重さや物足りなさを感じることはなかった。最高125km/hまでEV走行が可能な「マックスeドライブモード」でも、街乗りであればまったく問題ない。ただ、電気モーターのみでの航続距離が、最大42kmと今時のPHEVとしては短く、すぐにバッテリーをチャージする「セーブバッテリー」 モードに入れたくなる点は残念である。
(後編へつづく)
MINI クーパーS E カントリーマン オール4 主要諸元(EU準拠)
●サイズ:全長4299×全幅1822×全高1559mm ●ホイールベース:2670mm ●車両重量:1735kg ●エンジン:直3 DOHC ターボ・1499cc ●エンジン最高出力:100kW(136ps)/4400rpm ●最大トルク:220Nm/1250-4300rpm ●モーター最高出力:65kW(88ps)/4000rpm ●モーター最大トルク:165Nm/0-3000rpm ●駆動方式:4WD ●トランスミッション:6速AT