マイナーチェンジの概要
7月6日にマイナーチェンジされたルノー・ルーテシアR.S.。その概要は以下のとおり。
ノーマルモードなら日常使いもふつうにこなす
今回用意された試乗車は、ルーテシアR.S.シャシーカップ。車両価格309万円の中間グレードだ。
搭載するエンジンは1.6L直噴ターボで、200psの最高出力と240Nmの最大トルクを誇る。組み合わされるトランスミッションは6速EDC(DCT)。マニュアルトランスミッションは設定がない。
カード型のキーをセンターコンソールにあるスロットルに挿し、スタートボタンを押すとエンジン始動。走り出す。
ルーテシアR.S.の3グレードは、かなり明確に異なった性格を与えられているという。329万円の「トロフィー」は、クイックなハンドリングと締められた足、220ps/260Nmというパワー/トルクで走行会などサーキット走行に向いているようだし、シャシースポールは200万円台(284万円)からルノーのスポーツ魂を味わえる設定。3グレードそれぞれ独自に足まわりの設定なども行われている。
では、この「シャシーカップ」グレードはどんな性格なのか。プレゼンを行ってくれたルノージャポンのフレデリック・ブレンさんによると「ワインディングも日常使いも両方こなしますし、ちょうどいい感じです。家族を乗せて走っても不満は出ないね」だそう。
ノーマルモードで走る限り、使い勝手の良いふつうのBセグメントとして扱うことができる。乗り心地もちょっと硬めだが、突き上げ感もなく、これならば確かに「家族からの不満」は出なさそうだ。
クルマの性格を変える「R.S.ドライブ」
シフトノブ手前にある「R.S.」ボタンを押すと性格がガラッと変わる(R.S.ドライブ)のは従来モデルと同じだ。一度押すとスポーツモードになる。このモードはESCがある程度の滑りを許容するスポーツへと切り替わり、またシフトスピードが0.17秒(ノーマルは0.2秒)と速められる。もちろんパドルシフトでの変速もできる。
このモードは面白い。ダウンシフトの際はブリッピングも行い、音もシビれるし、なんたってタイヤからの情報がハンドルを握る手にすべて伝わってくるような感覚で、走りが楽しいのだ。
シフトノブを倒しマニュアルモードにしてから「R.S.」ボタンを押すと、今度はレースモードに切り替わる。シフトスピードはさらに0.15秒まで速められ、ESCは全カットとなる。この状態でシフトノブを元に戻すと「スポーツモード」になり、またシフトノブをマニュアルに倒すと「レースモード」に切り替わる。
走りも明らかにアップデートされている
今回の試乗で感じたのは、「こんなに動きが手に取るようにわかるクルマだったっけ?」ということ。じつは今回のマイナーチェンジのリリースによると、内外装の変更やグレード体系の見直しなどが中心で、走りに関する要素の変更情報はない。
でも、以前のルーテシアR.S.よりも明らかに走りがアップデートされている。フロントタイヤはどんなシーンでも安定して接地し、駆動力を常に路面に伝えているし、リアが流れ出しそうなムズムズ感も手に取るようにわかるから、アクセルワークひとつで自在に姿勢を変えられる。バンピーな路面でも、足がよく動いて駆動の抜け感もない。
ポロGTIのような理詰めのスポーツとは対称的に、フレンチホットハッチらしい官能的なスポーツ感。ベタ褒めなんですが、ワインディングになると本当に楽しいクルマ。日常使いの「ジキル」と、スポーツ走行の「ハイド」の差がとても大きく、そこもルーテシアR.S.の魅力となっている。
写真:玉井 充
ルノー ルーテシアR.S.シャシーカップ 主要諸元
●サイズ=4105×1750×1435mm ●車両重量=1290kg ●エンジン=直4DOHCターボ 1618cc ●最高出力=200ps/6050rpm ●最大トルク=240Nm/1750rpm ●309万円