ポルシェが「WECのLMP1カテゴリーへの参戦を2017年シーズンをもって終了する」と発表したことは大きな波紋を呼んでいる。WECは今後どうなるのか、そしてトヨタはどうするのか、その動向に注目が集まっている。
トヨタはそれでもル・マン制覇を目指すのか
ポルシェがWECのLMP1カテゴリーから撤退するという噂は、WEC第4戦ニュルブルクリンク6時間レースの時から秘かに流れていた。その情報についてはMotorMagazine9月号(P116)に詳しいが、多くの人々が「まさか」と驚いたことだろう。
ル・マン3連覇を達成し「耐久の王者」に君臨するポルシェがなぜ撤退しなければならないのか、と疑問に感じている人も多いことだろう。いやむしろ、ル・マン3連覇を達成したから撤退するとも言えるだろう。来季4連覇を達成してもそれほど大きなアピールとならないばかりか、もし負ければ「耐久の王者」の名にキズをつけることになる。それよりも「フォーミュラEに参戦する」という発表のほうがインパクトは大きい。現在開発中のミッッションEに代表される「ポルシェストラテジー2025」に沿った活動という主張にも説得力があるし、フォーミュラEでも活躍となれば、さらにその技術力を強くアピールすることができる。
ポルシェの撤退で、LMP1クラスで唯一のワークスとなるトヨタはどうするのか。「今年ル・マン制覇を成し遂げたらWEC撤退の可能性もあるのでは」と囁かれていたが、敗れたことで引けなくなった。しかし、ポルシェのいないル・マンを制覇しても大きな価値は見いだせない。ワークス唯ひとりとなればなおさらだ。しかも、万が一、プライベーターに負けるようなことがあれば大失態となる。微妙な立場に追い込まれた感もある。新しいワークスの参戦を呼び込んで新しいWECを作り上げるのか、ワークスの参戦をやめてプライベーターでル・マン制覇を狙うのか。今後に注目だ。