日本でもっとも売れているボルボ車はV40だが、グローバルではXC60が圧倒的。そのプレミアム・ミッドサイズSUVが2代目に進化した。今回試乗したのは、いち早くデリバリーの始まった、254㎰ /350 Nmのガソリン2L直4ターボを搭載する「T5」の上級グレード「インスクリプション」だ。
内外装とも見た目の雰囲気は評判の良いXC90のまさしく弟分という感じで、エレガントで知的に見える。前輪からフロントドアまでの距離を長くしてFR車のようなバランスとされたことや、立体的で美しいボディパネルの造形が特徴だ。
インテリアもXC90譲りのたたずまい。ナッパレザーのシートにはマッサージ機能も付く。B&W製オーディオのサウンドも素晴らしい。自然味のある木目が美しい新設定のドリフトウッド(=流木)のパネルが見せる表情も印象深い。試乗車で679万円となるが、クオリティの高さはその価値を超えると言っても良さそうだ。
シャシのつくりも概ねXC90と同じ。リアにリーフスプリングを用いた標準サスとエアサスが選べ、持ち味はそれぞれ。軽快で素直なフットワークの標準サスに対し、エアサスはゆったりとした高級
感のある乗り心地を提供してくれる。また、ブレーキにオートホールド機能が追加されたのもうれしい。
エントリーの「T5」でも動力性能は十分。ドライブモードの選択によってわかりやすくクルマの性格が変わる。エアサス装着車は車高も自動的に変わる。
安全性に関する装備の充実ぶりは、さすがはボルボ。乗員だけでなく車外の人まで守る16種類以上もの先進安全運転支援機能を持つ「インテリセーフ」が全車に標準装備される。
そこに今回、新たに3つのステアリングサポート機能が搭載され、渋滞路を含め走行中の車線維持や、車両への衝突回避のためのステアリング操作を支援してくれるようになった。
なお、プラグインハイブリッドの「T8」も同時に導入開始で、ディーゼルの「D4」とガソリン高性能版の「T6」は来春からの予定。売れ筋の「D4」が従来2WDのみだったところ、AWDとなったのも歓迎だ。
■ボルボXC60 T5 AWD インスクリプション <エアサス仕様> 主要諸元:●全長4690×全幅1900×全高1660mm ●車両重量=1860kg ●エンジン=直4DOHCターボ 1968cc ●最高出力=254ps/5500rpm ●最大トルク=350Nm/1500-4800rpm ●JC08モード燃費=12.6km/L ●679万円
■文:岡本幸一郞 ■写真加藤英昭