プラットフォームは現行型を熟成
現行86/BRZの発売は2012 年。開発費用の回収に時間がかかるスポーツカーだけに、モデルライフは当初10年以上と予定されていた。つまり、次世代へスイッチするのは早くても2022年以降というのが初期の目論みだったのだ。それが一転して前倒しされ、2021年の発売を目標に検討が始まったのだ。とある情報筋がその事情を明かした。
「現行のプラットフォームがベースと決まった時点で、ターボ案は消滅しました。86/BRZが発売されたときにも少し話題になりましたが、そもそも,あのクルマはターボ化するのは無理なんです。あのエンジン搭載位置ではターボや配管が足回りや地面と干渉してしまいますから」
86/BRZの美点のひとつに、フラット4の利点をさらに生かす圧倒的に低い重心高が挙げられる。プラットフォームを設計する段階でターボの入るスペースは考慮されておらず、それゆえにあの低い重心高が実現できたのだ。ターボ化がまったく不可能というわけではないが、量産車であり生産要件も考慮すれば、NAのままで行くことはごく自然な成り行きなのだろう。ただ、一方では主に北米要望としてエンジンのパワーアップも期待されているらしい。
「そこで、現行FA20型の改良型に加え、アセントに搭載されるFA24型ターボエンジンをNA化したものが採用されることがほぼ決定したのです。つまり、次期型は2リッターと2.4リッターの二本立てになるというわけです」
ボディサイズに大きな変更はなし
まずは、ボディタイプについて。トヨタは現行型で果たせなかったオープンボディの企画を次期型で実現することにこだわったようだ。実はこれが2.4リッターエンジン導入のもうひとつの理由でもある。確かに、ビジネスを考えるとアメリカ西海岸向けにコンバーチブルのラインアップは不可欠。現行型では当初の企画にはなかったため、生産ラインの関係で実現できなったが、今度こそは実現されるはずだ。
さらに俎上に上っているのは、価格上昇を抑えながらも、いかに軽く堅牢なボディを構築するかだという。プラットフォーム流用とは言っても、後述する理由もあり実際には大幅な設計変更が入るはずだと情報筋は語る。
「現段階ではっきりしているのは、ボディはホイールベースを含めほぼ現行型とほぼ同じサイズを維持するということ。剛性を上げながらホワイトボディで80kgほど軽く仕上げるというから、ハードルは高いですね」
前述のようにプラットフォーム流用といっても、決して安易なものではないということだ。しかも、次期型にはコンバーチブルという重量増に直結するモデルも計画中。2.4リッターエンジンはコンバーチブル専用となる可能性すらある。発売まであと3年近くあるので今後多少の変更はあるかもしれない。もっとも、基本的な計画はほぼコレで決定したと言って良いだろう。さらに詳しい情報は、1月10日発売のホリデーオート2月号に掲載している。