今ではフューエルインジェックションにその役割を取ってかわられたキャブレター。1980年代までは主流だったその構造とはどんなものだったのか。
文:飯嶋洋治
整備性やコスト面で優れるキャブレター
略して“キャブ”と呼ばれていたキャブレター。電子制御のフューエルインジェクションが普及する前、燃料供給はこれによって行われていた。スロットルを開けた時に通過する空気が、必要なぶんだけの燃料を引っ張り出すことを利用した構造で、霧吹きの構造にたとえられる。

キャブレターの構成図。ソレックスやウエーバーも、この図と同じく固定ベンチュリー式だ。(自動車のメカはどうなっているか エンジン系:グランプリ出版より)
空気を引っ張り込むのは、エンジンの吸気行程。キャブレター内部のベンチュリーと呼ばれる通路が狭くなっているので、そこで吸気の速度が高まる。それによって気圧が下がると、ベンチュリーに突き出ていたノズルからガソリンが吸い出され、吸気の流れにのって飛び散り、混合気となる仕組みだ。
シンプルさゆえに整備性に長けて、コスト的にも効率的なシステムだ。しかし、1970年代、1980年代の厳しい排気ガス規制に対応できずに現在では消えてしまった。

S54型スカイライン2000GTも固定ベンチュリー式のウエーバーのキャブレターを採用していた。

S54型スカイライン2000GTに搭載されていたウエーバーの3連キャブ。