ハイブリッドも改善し、走りの印象も良くなったホンダ ジェイド
低全高世代のオデッセイとストリームを統合し、その後継モデルとして登場したわりには3列目が狭すぎたり、やや割高感のある価格設定やビミョーなスタイリングなどが災いしてか、売れ行きが芳しくないのは否めないホンダ ジェイド。
そこで、発売から3年あまりが経過した2018年5月「NEW STYLE WAGON」をコンセプトに2列シート5人乗り仕様を追加して再出発。さらに、これまで1.5LターボのみだったスポーティバージョンのRSに、ハイブリッドも選べるようになった。そこで、まずはコイツに試乗してみよう。
内外装の印象もだいぶ変わり、LEDヘッドライトやハニカムメッシュフロントグリル、18インチの切削ブラッククリア塗装のホイールなどが与えられ、外観はよりスポーティでシャープな雰囲気になった。
後席には大型アームレストや反転テーブルが備わり、ラゲッジスペースもかなり広くなった。これならワゴンとして十分に通用しそうな、いたって常識的なパッケージングとなった。
ジェイドのハイブリッドシステムは、フィットなどと同じ1モーターのi-DCDを搭載する。リコールにより一連の車種ではずいぶん改善されたと感じていたが、従来のジェイドはあまり軽くない車両重量が影響してか発進加速が鈍く、少々ギクシャクしていた。また、実走燃費は良いものの、動力性能にはやや不満を覚えなくもなかった。
それがマイナーチェンジのギアレシオと駆動力制御の見直しにより、ずいぶん改善されていることも乗ってみてよくわかった。また、今回も特にエコドライブしたわけでもないのに相変わらず燃費が良かったことも念を押しておこう。
ワゴンの選択肢が少ないいま、ジェイドのハイブリッドという魅力はデカい
フットワークも爽快そのもの。他グレードよりも大径の18インチホイール&タイヤや専用ダンパー、ホンダお得意の「アジャイルハンドリングアシスト」などが与えられるRSのドライブフィールは、あたかもワゴンのカタチをしたスポーツカーのよう。
俊敏で一体感のある回頭性により、ワインディングでは面白いほど良く曲がって、ヒラリヒラリと気持ち良くコーナーをクリアしていける。ひきしまった足回りによりロールも小さく、フラット感も高い。それでいて後席も十分に快適だ。
ちょっと操舵力が重めの電動パワステも手応え感があって良い。ややセンター付近が過敏な印象もあるが、高速巡行の際はLKAS(車線維持支援システム)を使えばラクに走れる。
逆に車線逸脱抑制機能は、とくに問題ないと思われるような状況でも警告が発せられがちなのは、多くのホンダ車でも見受けられるのだが、これはジェイドも同じだった。
ACC(アダプティブ・クルーズコントロール)は車両重量に対してやや動力性能が足りないせいか加速に若干モタつきを感じるときもなくはないが、概ね問題ない。
その他、全車標準装備のホンダセンシングは、ぶつからないための諸機能も充実している。
聞けば新しいジェイドはライバルとしてこのカテゴリーの代表格であるレヴォーグに狙いを定めたとか。4WDがないのは弱点だが、逆にハイブリッドがあってRSのような性格のモデルでも選べるというのは大きなアドバンテージといえる。
ジェイドに最初からこういうモデルがあれば話はずいぶん違っていたかもしれないとも思うのだが、レヴォーグが売れているように、新しいジェイドもそこそこイケるかもしれない。
ミニバンやSUVに押されてワゴンの選択肢がめっきり少なくなったいま、こうして魅力的なニューモデルが出てきたことを大いに歓迎したい。
(文:岡本幸一郎、写真:森山俊一)
ホンダ ジェイド RS ハイブリッド 主要諸元
●全長×全幅×全高:4660×1775×1540mm
●ホイールベース:2760mm
●車両重量:1450kg
●エンジン:直4DOHC+モーター・1496cc
●エンジン最高出力:131ps/6600rpm
●エンジン最大トルク:155Nm/4600rpm
●モーター最高出力:29.5ps/1313-2000rpm
●モーター最大トルク:160Nm/0-1313rpm
●トランスミッションミッション:7速DCT
●駆動方式:横置きFF
●JC08モード燃費:24.2km/L
●タイヤ:225/45R18
●価格:306万720円