いまだに街中ではミニバンをよく見かけるが……
3列シートを備えたミニバン。日本市場においては、長らく大きな存在感を誇るジャンルだ。
とくに1990年代から2000年代にかけては、俗に「ミニバンブーム」と呼ばれるほど人気を集めた。中でも、2000年代の後半は、車種が充実したこともあるだろう。2008年の販売ランキングを見ると、上位30車種のうちミニバンが12車種を占めるほどであった。
その年にヒットしたミニバンの名前を並べてみればウィッシュ、シエンタ、ヴォクシー、ノア、エスティマ、アルファード、ヴェルファイア、セレナ、フリード、ストリーム、ステップワゴン、オデッセイというもの。
ここで注目したいのが、ストリームとウィッシュ、そしてオデッセイという、背の低い3列シートのミニバンだ(現在のオデッセイは背が高くなっている)。また、ランクインしていないが、他にもラフェスタ、プレマシー、エクシーガといったミニバンも存在していた。
しかし、こうした背の低いミニバンは2010年代に入ってどんどんと減ってゆく。気づけば、現存するモデルといえば、2011年に誕生したプリウスαだけになってしまった。
一方、背の高いスライドドアのミニバンは、今も健在だ。2018年上半期のランキングを見ても、上位10位までにシエンタ、ヴォクシー、セレナ、フリードがランクインしている。30位までならばノア、エスクァイア、アルファード、ヴェルファイア、ステップワゴンもいる。このジャンルの人気は、ミニバンブーム時とそれほど変わらないのではないだろうか。
つまり、ミニバンを求めるユーザーたちは背の低いクルマも高いクルマも経験し、最終的に背の高いクルマに集約されていった。そのように見て良いのではないだろうか。
そう考えた上で「ミニバンブームが下火になったのか?」と問われれば、「下火になっている」と答えたい。つまり、世の雰囲気=ブームでミニバンを購入する人はほとんどいなくなったということだ。
さらに言うなら、現在のブームはSUVだ。なんとなく、流行の〜、話題の〜などという理由でクルマを選ぶならば、間違いなくSUVである。
だからと言って、ブームが下火になったことを悪いとは思わない。あくまでも、ブームによって多くの人が興味を持って乗り、取捨選択された結果、成熟したと考えられるからだ。