1970年代、80年代の街道レーサーのルーツにもなったと言われるツーリングカーレースに参戦していたマシンたち。クルマ好きは、これらを「ハコ」と呼んで愛した。連載第3回は冨士GCなどでは純レーシングカーと同じ土俵で闘った「S30型日産フェアレディZ」だ。
空力性能にこだわった装着パーツ
先代SP/SRの時代から、GTクラスでは日本車唯一無二の存在だったのが、日産のフェアレディだ。
フルモデルチェンジで「フェアレディZ」となったS30型Zは、1970年1月にスカイライン GT-Rと同じS20型エンジンを搭載したZ432が鈴鹿でサーキットデビューを果たした。
しかし、総合力で勝るという理由から、半年後にSOHC 2.4LのL24型を積む240Zに主役を交代する。当初はGT部門で戦績を残したが、富士GC(グランチャンピオン)シリーズの創成期には、純レーシングカーのグループ7に混じって参戦し、豪雨のレースでは柳田春人がグループ7を退けて総合優勝を果たすこともあった。
スカイラインGT-Rの撤退後はスーパーツーリングに参戦し、同レースが終了する1978年いっぱいまでサバンナRX-3と一騎討ちを演じた。汎用性の高いL型の特徴を生かし、2.6L/2.8L仕様や、追浜(日産の特殊車両部第一実験室)が開発したR390型クロスフローヘッドも開発されて、実戦で使われた。(文:大内明彦)