欧州のスーパーカーがスゴいのは誰でも知っている。だが日本のメーカーも、日本人のためのスーパーカーを作るべく努力をしてきた。そんな歴史を振りかえる企画、今回は、ヤマハが市販を目指したスーパーカー「OX99-11」だ。(ホリデーオート2018年11月号より)
陰の四輪メーカーが、その技術の粋を注いだ
ヤマハ発動機は1955年の創立以来、四輪進出を目論んでいた。トヨタ 2000GTの開発などにも大きくかかわっていたのは周知の事実だろう。
トヨタ車などの四輪モータースポーツ用のエンジン供給も行ってきた。中でも、OX99-11は、その思惑が結実したものだった。
ジョーダン・ヤマハF1に搭載されていたOX99型V12エンジンを、カーボンファイバーとアルミニウムのハニカム・モノコックのシャシに搭載した。風洞実験を重ねてエアロダイナミクスを追求したボディのスタイリングは、まさにスーパーカー。
デザインを担当したのは、ムーンクラフトの由良拓也氏。センター配置された運転席の後ろにパッセンジャーが座るタンデムの2人乗りというシートレイアウトもユニークだった。
1992年、生産と販売を行う予定だったロンドンで発表され、94年には発売開始とアナウンスがされるものの、バブル崩壊など周辺事情の悪化により、93年に計画はフェードアウトしてしまった。
(解説:飯嶋洋治)
■ヤマハOX99-11主要諸元
●全長×全幅×全高:4400×2000×1220mm
●ホイールベース:2650mm
●重量:850kg
●エンジン型式・種類・排気量:OX99・V12 DOHC・3498cc
●最高出力:450ps/10000rpm
●最大トルク:40.0kgm/9000rpm
●トランスミッション:6速MT
●タイヤサイズ(前・後):245/40ZR17・315/35ZR1