ホンダの4輪進出は小型スポーツカー、S500から始まったが、量産メーカーとしての第一歩は1967年のN360だった。ホンダ コレクション ホールに展示されているN360とともに紹介しよう。(Motor Magazine 2016年1月号より)

飛び抜けた高性能と低価格で大ヒット

ホンダが量産メーカーへと躍進する転機となったのは1967年のN360だった。

N360は英国の小型車ミニを範にFF方式を採用(当時はまだRRかFRが主流だった)、スペアタイヤをエンジンルームに置く大胆な発想もあり、極めて広い室内を実現して登場した。

メカニズムもユニークで、4速マニュアルトランスミッションはオートバイの構造に近い、エンジンと直列に配置されるドグミッションを採用。サスペンションはフロントがコイルスプリング+ストラットの独立懸架、リアは半楕円リーフスプリングのリジッドとし、前後とも簡略・省スペースな構造となっていた。

エンジンは2輪の技術を活用した354cc4ストローク強制空冷直列2気筒チェーン駆動のSOHCで、当時の軽自動車にあって突出した性能を発揮、その後の「パワー競争」の火付け役になった。

しかもシンプルな構造から価格も安く、発売直後から大人気となり、N360はスバル360を抜いて軽自動車ナンバー1の座を手にするのだった。

1968年7月には輸出仕様N600Eも発売。68年9月にはツインキャブでリッター100psに相当するN360T(ツーリング)を追加。N360Tはメッシュグリルで若者に大人気となった。

このモデルを出発点にしてホンダは4輪乗用車メーカーとしての地位を確立。ホンダ コレクション ホールには1967年生産の初期型が展示されている。

画像: リアには上ヒンジ式の独立したトランクを持ち合わせていた。

リアには上ヒンジ式の独立したトランクを持ち合わせていた。

画像: シンプルなデザインのメーター、シフトレバーはダッシュボード下から出ている。

シンプルなデザインのメーター、シフトレバーはダッシュボード下から出ている。

ホンダN360(1967年)

主要諸元●全長2995mm×全幅1295mm×全高1345mm ●ホイールベース:2000mm ●エンジン:空冷4サイクル直列2気筒SOHC ●排気量:354cc ●最高出力:31ps/8500rpm ●車両重量:475kg ●最高速 115km/h ●1967年当時の価格:31万3000円

ホンダ コレクション ホール

ホンダのチャレンジングスピリット、技術の歴史、ものづくりへの情熱が感じられるミュージアム。「ホンダのみんなが何を考えてつくってきたか。みんなのつくったものを皆さんにお見せすればいい。こんな正直なホンダはどこにもないぞ」という創業者本田宗一郎の言葉が発端になって開設された。ツインリンクもてぎ開業にあわせて、鈴鹿サーキット内にあったコレクションホールを移転する形で、1998年3月にツインリンクもてぎの重要な施設のひとつとして設立された。2輪、4輪、レーシングマシン、国内外の良きライバル車など約300台を展示。さまざまな企画展が開催されていて、いつ訪れても新しい発見がある。なお、ツインリンクもてぎへの入場に料金が必要だが、ホンダ コレクション ホールへの入場は無料となっている。

画像1: ホンダ コレクション ホール
画像2: ホンダ コレクション ホール
画像3: ホンダ コレクション ホール

●住所:栃木県芳賀郡茂木町桧山120-1(ツインリンクもてぎ内)
●入館料:無料(ただしツインリンクもてぎへの入場に別途料金が必要)
●問い合わせ先:☎0285-64-0341 
●アクセス:常磐自動車道水戸北スマートICより約30分(東京方面からのETC専用出入り口のみ)、那珂ICより約40分、水戸ICより約40分/東北自動車道宇都宮ICより約90分/北関東自動車道真岡ICより約50分

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