かつてモータースポーツで活躍した伝説のマシンに、今、自動車博物館で会うことができる。今回は、トヨタの1990年代へと続くWRC活動の先駆者となったセリカ ツインカムターボに会うために、メガウェブ ヒストリーガレージに出かけた。(Motor Magazine 2019年3月号より)

メガウェブ ヒストリーガレージの2Fに展示されている

1973年に始まったトヨタのWRC挑戦。初勝利は1975年の1000湖ラリー(現在のラリー・フィンランド)、ハンヌ・ミッコラが駆るTE27レビンだった。

これを機にTTE(チーム トヨタ ヨーロッパ)が立ち上がって行くが、本格的に活動を開始したのは1983年のことだった。当時はミッドシップや4WDの怪物マシンが覇を競うグループB全盛だった。

ここにTTEはFRの3代目セリカを投入する。それがセリカ ツインカムターボだった。4WD勢に対し不利とされていたFRながら、軽量の強みを活かした速さは際立っていた。

1983年、ノンタイトルながらアイボリーコーストで勝ち、1984年にはビヨン・ワルデガルドがサファリでTTEにWRC初優勝をもたらした。1985年にはユハ・カンクネンが、1986年には再びワルデガルドがサファリを3年連続制覇、アイボリーコーストでも1983、85、86年優勝、コートジボアールでも1986年優勝を成し遂げ、「ラリー=セリカ」を広く世界に知らしめたのである。

セリカ ツインカムターボのベースは、1982年にグループBホモロゲーションモデルとして200台限定で販売された1800GT-TS。トヨタ・チーム・ヨーロッパ(TTE)がそれをWRCマシンに仕上げたものだった。

セリカ1800GT-TSのエンジンは直4DOHCターボの4T-GTU型1791ccで、ターボ係数1.4をかけて3L以下クラスとしてホモロゲーション取得。実戦に投入されたセリカ ツインカムターボでは2090ccとし、KKK製ターボを装着して320〜340psを発揮していた。ヘッドライトは固定式、樹脂製オーバーフェンダーを備え、トランクリッドにはオイルクーラーを配する。ホイールはスピードライン、ライトはシビエ、タイヤはピレリを使っていた。

1985年の第21回サファリでユハ・カンクネンがドライブし優勝したマシンがメガウェブ ヒストリーガレージに展示されている。

画像: コンペティションマシンらしく内装はスパルタン。

コンペティションマシンらしく内装はスパルタン。

画像: ツインカムであるとともにツインプラグでもあった。

ツインカムであるとともにツインプラグでもあった。

トヨタ セリカ ツインカムターボ 主要諸元  1985年式(TA64型)/サファリラリー優勝車

●全長×全幅×全高=44284×1785×1310mm
●ホイールベース=2500mm
●車両重量1150kg
●エンジン=直4DOHCターボ
●排気量=2090cc
●最高出力=326ps/7200rpm
●駆動方式=FR

メガウェブ ヒストリーガレージ

東京・青海、トヨタのテーマパーク・メガウェブの隣のヴィーナスフォート内にある展示スペース。トヨタをはじめとする世界のヒストリックカーが展示されていて、“クルマの歴史”を見ることができる。モータースポーツの歴史に関するコーナーもあり、自動車の再生工房「レストアピット」では名車の復元作業も見学可能。ノスタルジックな街並には、展示車だけでなく、ミニカーショップ、カフェなどもがあり、ゆっくりと雰囲気を楽める。 1Fのカフェバーに隣接するショップ「グリースGPS」では、レースなどモータースポーツで活躍したクルマのミニカーを販売。2Fの奥、非売品だがやはりモデルカーや書籍が並ぶ「コリドー」も見応えがある。

●住所:東京都江東区青海1丁目3-12
●入館料:無料 
●休館日:不定休/時間:11:00〜21:00(施設により異なる)
●駐車場:なし(ヴィーナスフォートパーキングをご利用ください) 
●問い合わせ先:☎03-3599-0808
●クルマでのアクセス:首都高速湾岸線 臨海副都心出口/有明出口より約5分/首都高速11号台場線下り台場出口より約5分●りんかい線「東京テレポート」駅より徒歩約3分/新交通ゆりかもめ「青海」駅直結、「お台場海浜公園」駅より徒歩約7分

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