モーターマガジン社のアーカイブから、ちょっと懐かしく珍しいクルマを紹介する新連載企画。今回は、クラシックMINIをベースにしたキットカーのマーコスだ。

軽量ボディに吹けの良いエンジンを搭載、走りが楽しい!

1960年代、イギリスにはMINIのコンポーネンツを用いたキットカーは数多く存在し、中でもマーコスは成功を収めた1台だ。コンパクトな2シーターのクーペスタイルを見ただけで、ベースがMINIだとわかる人はなかなかいないかもしれない。

だが、1966年のル・マン24時間レースに参戦し、完走を果たした唯一の英国車になったほどの実力を持ったスポーツカーだったのだ。

画像: 全長はベースのMINIより約370mm長いが、全高は340mmも低い990mmと1mを切っている。

全長はベースのMINIより約370mm長いが、全高は340mmも低い990mmと1mを切っている。

1970年代初頭に倒産を経験したマーコスだが80年代中盤に復活し、90年代初頭には復刻版が登場した。ここで紹介するのは「MINI マーコス 1300ル・マン」と名づけられたモデルで、1.3Lの直4 OHVを搭載した高性能バージョンだ。

画像: ボンネット内にギッシリ詰まった直4のOHVは電子燃料噴射装置も備えていた。

ボンネット内にギッシリ詰まった直4のOHVは電子燃料噴射装置も備えていた。

MINIがベースのコンパクトなボディは、わずか620kgと軽量。それに70ps/9.6kgmを発生するパワーユニットを搭載するのだから、パワー/ウエイト・レシオは8.86kg/psにおさえられている。
軽量ボディとショートホイールベースのため乗り心地はいまひとつだが、剛性感のある4速MTを駆使してワインディングなどを走ると、なかなか楽しい。

画像: ウオールナットのダッシュパネルが英国車らしい。オプションのエアコンも装着していた。

ウオールナットのダッシュパネルが英国車らしい。オプションのエアコンも装着していた。

タイトなコクピットは英国車らしくウオールナットのダッシュパネルなどがオプションで貼られ、特別な雰囲気を演出している。またオプションだがエアコンの装着も可能だった。クラシカルだが愛着のあるスタイリングは、平成が終わろうとしているいま見ると、むしろ新鮮に感じられてしまう。

画像: スポーツカーらしいスパルタンな乗り心地だったが、走りはそれなりに楽しめた。

スポーツカーらしいスパルタンな乗り心地だったが、走りはそれなりに楽しめた。

MINI マーコス 1300ル・マン(1992年) 主要諸元

●全長×全幅×全高:3467×1435×990mm
●ホイールベース:2134mm
●重量:620kg
●エンジン種類:直4 OHV
●排気量:1275cc
●最高出力:70ps/5700rpm
●最大トルク:9.6kgm/3900rpm
●トランスミッション:4速MT
●タイヤサイズ:145/70SR12

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