カバーは簡単に外せるが、傷つけないよう注意
最近のクルマのバンパーには必ずと言っていいほど、丸や四角で小さく区切られた部分がある。ここはカバーになっており、一般的には緊急時に利用するため、新車購入から手放すまで一度も触らなかったという人も多いはずだ。では、ここを開けると何があるのかというと、けん引フックを取り付けるための雌ネジ(ネジ穴)である。
ひと昔前であれば、フックはボディの下を覗き込んだところに据え置きされてきた。けん引ロープを簡単に装着できる一方で、雨や雪の日に洋服を汚さないようロープを装着するのが大変だった思い出もあったりする。
ところが近年、フックの強度を確保しやすいというメリットもあって、バンパー内のボディへの取り付け式に切り替わってきた。フロントマスクの目立つ部分に線が入ったり、取り付け作業の煩雑さなどデメリットもあるが、現在こちらが主流となっている。
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車載工具を布でカバーしてキズ対策。バンパーにキズはつかなかった。
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カバーを開けるとあらわれる、けん引フック装着用のネジ穴。
カバーは車載工具を使えば簡単にはずれる。ただ、裸の工具では塗装を傷つける可能性もあるので、布で覆うなど対策が必要だろう。あとはフックをネジ穴に装着するだけ。一般的には時計回りにまわせば装着できるが、一部の輸入車には逆ネジを採用するモデルもある。取扱説明書を確認するか、その場で締まらないようであれば、反時計回りにまわしてみよう。
ちなみに、レースの世界では不動車になったり砂地にハマって動けなくなるなどのケースが多く発生する。そのため、レーシングカーにおいては矢印でその場所を明確にすべしという規定を含め、細かく定められている。ブロントバンパーに貼られた矢印のステッカーがそれだ。
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矢印でけん引フックのある部分を強調するレーシングカー。規定に定められている。
カバーと間違えてはずそうとしてはいけないもの
最近のモデルにはカバーとよく似たもの、ワナ(!?)がいくつか散りばめられているから気をつけよう。
とくに紛らわしいのがヘッドライトウオッシャーのノズルを格納するためのフタだ。高級車や輸入車、SUVなどのヘッドライト周辺に配置されているケースが多く、ここをムリに開けようとすれば塗装を剥がしてしまったり、ノズルを損傷させかねないので注意したい。
もうひとつはコーナーセンサーだ。自動車メーカーによってはクリアランスソナーやバックソナーなどとも呼ばれるもので、超音波を発信して障害物との距離を測るもの。10円玉程度の大きさの丸(センサー)が前後バンパーにいくつか貼り付けられている。けん引用のカバーより比較的小さいので間違える可能性は低いと思われるが、緊急時に慌てているときは要注意だ。
出番の少ない機能だからこそ、慎重に作業しよう。
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ヘッドライトウオッシャーノズルには要注意。