2019年9月のIAA(通称フランクフルト国際モーターショー)でワールドプレミアが予定されているポルシェ初のフルEV「タイカン」。日本へは2020年に導入される予定だが、そこに向けて大きな一歩を踏み出した。
画像: 筆者が2018年にポルシェミュージアムを訪れたときはミッションEが展示されていた。

筆者が2018年にポルシェミュージアムを訪れたときはミッションEが展示されていた。

ポルシェ初のフル電動スポーツカー「タイカン」は、4ドア、4セパレートシート、最高出力400kW(600ps)、0→100km/h加速3.5秒以下、最大航続距離500km以上(NEDC準拠)というパフォーマンスを持つ。

ワールドプレミアは2019年9月のIAA、そして日本へは2020年中に導入されることになるが、2019年3月の時点でグローバルで2万人以上の人が、タイカンの購入希望者リストに登録されているという。またこのタイカンには、派生モデルのクロスツーリスモの導入も2020年に予定されている。

画像: ポルシェのフル電動スポーツカー、ミッションE=タイカン。その姿がもうすぐ日本でも見ることができそうだ。

ポルシェのフル電動スポーツカー、ミッションE=タイカン。その姿がもうすぐ日本でも見ることができそうだ。

ポルシェの電動自動車専用となる150kW超の急速充電器を開発

しかし日本では、充電インフラという課題が残っている。従来の急速充電器CHAdeMOの出力は50kWで、それでタイカンを充電するとかなり時間がかかってしまうからだ。そうしたことへの解決策のひとつとして、ポルシェジャパンはABB社と業務提携し、全国のポルシェセンターと公共施設へ、ポルシェ電気自動車専用のABB製の急速充電器を設置すると発表した。この提携によりポルシェジャパンとABB社はタイカンの日本導入に合わせ2020年半ばまでに150kWを超える急速充電を可能とする次世代のCHAdeMOを展開する。

画像: ポルシェの電動自動車専用となる150kW超の急速充電器を開発

ちなみにABB社は、CHAdeMOおよびCCS(コンボ)の充電規格協会の創設メンバーのひとつで、2010年に最初のDC急速充電器、2012年に最初の全国DC充電ネットワーク、2016年にヨーロッパで最初の電気バス(eバス)充電ネットワークを立ち上げたEVインフラ会社である。現在は、73カ国に1万500台のABB製DC急速充電器が設置されている。

またABB社は、2018年よりFIAフォミュラEのタイトルスポンサーとしてシリーズをサポートしている。そしてポルシェも、2019年12月からスタートするフォーミュラEシーズン6へワークスチームとして2台体制で参戦するため、現在マシンを開発中なのである。

画像: 出力150kWを超える急速充電が使えるとなればタイカンの販売には追い風だ。

出力150kWを超える急速充電が使えるとなればタイカンの販売には追い風だ。

現在ポルシェでは、2025年までに販売台数の半分を電気駆動モデルまたは部分的に電動駆動のPHEV(プラグインハイブリッド)モデルとするプロジェクトが進行中だ。日本でもポルシェジャパンとABB社とのパートナーシップにより世界最高レベルの急速充電器およびネットワークをポルシェユーザーに提供できるというメリットはとても大きい。ポルシェの電動化戦略の実現に向け、今回のABB社との業務提携は、大きな前進だと言えるだろう。

ポルシェのフル電気自動車。堂々と「スポーツカー」を謳うそれは、どのようなクルマなのか。私たちにどのような世界を見せてくれるのだろうか。そしてそこにポルシェらしさは感じられるのか。試乗できる日が、今から楽しみでならない。

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