マイルドになったスタイルが受け入れられず、不当な評価に泣いた6代目シルビア
「日産 シルビア(S14型:1993年10月発売)」
ヒット作となった先代S13型から全幅は40mm広がって3ナンバーボディとなったS14型シルビアは、ふくよかに見える造形もあって「FRスポーツとして堕落した」と、R33型GT-R同様の謂れのない非難を受ける。
K'sで比べると、S13型よりホイールベースが50mm伸び、車重は70kg増加しているが、ボディのワイド化でトレッドは前15mm/後10mm増えているし、エンジンが15ps強化されているから、車重増にも相殺以上の性能が期待できたのに、だ。
シャシはS13型からのキャリーオーバーだが、前ストラット/後マルチリンクのサスペンションは熟成が進み、寸法に余裕ができたことでジオメトリー設定の自由度が増してハンドリングに落ち着きが出ている。
確かにS13型の機敏さを良しとする人もいたが、S14型はスタビリティが確実にアップしており、それに伴いコーナリング限界も高まっていたのだ。S14型の評価の低さは、まさに風評被害だったと言っていい。
イメージの転換を図るため、96年のマイナーチェンジでヘッドランプをエッジの利いた形状にするなど、フロント回りのデザインを一新。
同時にスポイラーを標準装備したエアロパーツを追加した。97年には250psにチューンしたオーテックバージョンも投入するが販売的にはあまり効果はなく、99年1月登場のS15型へバトンタッチする。
シルビア K's(1993年)主要諸元
●全長×全幅×全高:4500×1730×1295mm
●ホイールベース:2525mm
●重量:1220kg
●エンジン型式・種類:SR20DET型・直4 DOHCターボ
●排気量:1998cc
●最高出力:220ps/6000rpm
●最大トルク:28.0kgm/4800rpm
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:205/55R16
●価格:239万8000円