ロングストレート重視か、旧市街でのハンドリングでタイムを稼ぐか
F1第4戦アゼルバイジャンGPの舞台となるのは、首都バクーに設けられた市街地サーキット。このコースがなかなかやっかいだ。
バクーの市街地サーキットは、近代的な建物が並ぶフラットで直角コーナーが続くセクター1と、城郭の中の旧市街を周る起伏が激しい狭く曲がりくねったセクター2、そしてカスピ海に面した広い道をアクセル全開で駆け抜けるほぼ直線のセクター3で構成される。
道幅が広くロングストレートが続く区間では最高速が350km/hを超えるスピードが出る一方で、コンクリートが待ち受ける難しい直角コーナー、道幅が7mほどしかない旧市街の入り口、90km/h近くまでスピードが落ちる低速コーナーなどテクニカルなセクションもある。
ストレートが長いためタイヤやブレーキの温度が下がってしまい、その後の超接近戦の中でマシンをコントロールするのが難しいことが、波乱の要因のひとつと言われている。また、市街地コースのため走り初めはとくに滑りやすく、高い建物に囲まれている部分では路面温度が場所によって異なる傾向もある。コース1周が6kmと長いのも特徴で、「世界最速の市街地サーキット」と言われる一方で、モナコ以上にアクシデントが多発するコースとして知られている。
昨年2018年のアゼルバイジャンGPでも、レッドブルのチームメイト同士の接触、セーフティカー導入中のクラッシュ、優勝目前のボッタスを襲ったパンクチャーなど、予測不能なさまざまなことが起きている。
ロングストレートを生かしてパワーでライバルに勝るフェラーリが優勝するのか、コーナリングスピードを重視したセッティングでメルセデスAMGが制するのか、チームとしてはコースのどこを重視してマシンを仕上げるか、どのタイヤをどこで選択するか、悩ましい問題となる。
F1第4戦アゼルバイジャンGPの予選は4月27日17時(日本時間22時)、決勝は4月28日16時10分(日本時間21時10分)に開始される。
昨年のアゼルバイジャンGPは、優勝 L.ハミルトン (メルセデスAMG)、2位 K.ライコネン(フェラーリ)、3位S.ペレス(フォース・インディア)、4位S.ヴェッテル(フェラーリ)だった。C.ルクレール(ザウバー)が6位入賞したのも記憶に新しい。(チームはすべて昨年)
ちなみにアゼルバイジャンはカスピ海に面し、ロシアとイランに挟まれた場所にあり、決勝スタートは16時10分とはいえ、十分に空が明るい時間帯に行われる。アゼルバイジャンは旧ソビエト連邦のひとつで、1989年に独立。世界遺産に登録される旧市街が有名だが、石油が豊富なこともあり、近年は未来的で巨大な建物が立ち並ぶ先進的な街に変貌しつつある。