昭和は遠くなりにけり…だが、昭和生まれの国産スポーティカーは、日本だけでなく世界的にもブームとなっている。そんな昭和の名車たちを時系列で紹介していこう。1968年発売のスバル 360 ヤングSS。

ヘッドライトカバーとストライプで速さをアピール

スバル 360 ヤングSS:昭和43年(1968年)11月発売

画像: ヘッドライトカバーとボンネットのストライプが、ヤングSSの証し。

ヘッドライトカバーとボンネットのストライプが、ヤングSSの証し。

スバル360は1958年(昭和33年)5月のデビューからざっと11年間、「テントウ虫」の愛称で親しまれたユニークなボディスタイルやRRの駆動方式、空冷2サイクル2気筒、356ccのEK32型エンジンなど、基本的にはほとんど変わらないまま、約9年間も連続して軽乗用車市場のトップの座を保ち続けてきた“名車”であった。

画像: メーターパネルにはタコメーターも装備した。RRだから足もとはフラットだ。

メーターパネルにはタコメーターも装備した。RRだから足もとはフラットだ。

しかし、1967年(昭和42年)3月、それまでの軽の常識をくつがえす高出力、高性能、低価格で登場したホンダN360によって、軽各車はいっせいにパワーアップと高性能化に走り始め、スバルも販売台数では、首位から転落することとなった。

スバルのEK32型エンジンもデビュー時の16psから18ps、20psへとパワーアップされていたが、N360の登場後の1968年8月には25psに引き上げられた。

画像: 3点式シートベルトも備える。シフトレバー下にはチョークレバーがあった。

3点式シートベルトも備える。シフトレバー下にはチョークレバーがあった。

さらに11月にはソレックス・ツインキャブで36psにアップしたEK32型搭載のホットモデル、ヤングSSを加える。カタログには、最高速度は120km/h、0→400m加速は22.8秒と謳われていた。

若者層へのアピールを狙ってスポーティな内外装と高性能を備えたヤングシリーズとしての登場で、シングルキャブ、25psのヤングSもラインアップしていた。

ストライプ入りのボンネットやヘッドライトカバー、8000rpmスケールのタコメーター、バケットタイプのフロントシートなど黒を基調としたスポーティな内装も目立った。

しかし、1969年8月、スバル360は惜しまれつつも生産中止。ヤングSSは10ヵ月あまりの短命に終った。「市場の動きに流されてしまったスバル」という声もあった。

画像: エンジンは2サイクルの空冷2気筒。これをギリギリまでチューンし、最高出力は36ps。リッターあたりの出力に換算すると100ps。

エンジンは2サイクルの空冷2気筒。これをギリギリまでチューンし、最高出力は36ps。リッターあたりの出力に換算すると100ps。

昭和の名車のバックナンバー

スバル 360 ヤングSS 主要諸元

●全長×全幅×全高:2995×1300×1335mm
●ホイールベース:1800mm
●重量:425kg
●エンジン型式・種類:EK32型・直2 2ストローク
●排気量:356cc
●最高出力:36ps/7000rpm
●最大トルク:3.8kgm/6400rpm
●トランスミッション:4速MT
●タイヤサイズ:4.80-10-2PR
●価格:38万5000円

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