昭和は遠くなりにけり…だが、昭和生まれの国産スポーティカーは、日本だけでなく世界的にもブームとなっている。そんな昭和の名車たちを時系列で紹介していこう。ここでは1970年発売の日産 サニークーペ 1200GXを解説。

モータースポーツでも活躍した「イチイチマル」サニー

日産 サニークーペ 1200GX:昭和45年(1970年)4月発売

画像: シンプルなファストバックスタイル。カタログには最高速度は160km/h、0→400m加速は16.7秒(いずれも2名乗車時)とあった。

シンプルなファストバックスタイル。カタログには最高速度は160km/h、0→400m加速は16.7秒(いずれも2名乗車時)とあった。

BC(ブルーバード vs コロナ)戦争と同様にCS(カローラ vs サニー)戦争と呼ばれたカローラとサニーの販売合戦は、この2代目でも続いた。

「となりのクルマが小さく見えます」という刺激的なコピーで、1970年(昭和45年)1月にフルモデルチェンジが発表されたのが2代目サニーのB110系。「豊かさのイメージ」を強調するニュー・サニーに生まれ変わった。

画像: 発表当時のメーカーショールームでのクーペGX。このクルマが数々のモータースポーツで活躍することを予想した人は少なかった。

発表当時のメーカーショールームでのクーペGX。このクルマが数々のモータースポーツで活躍することを予想した人は少なかった。

先代モデルに比べると全長が55mm(ホイールベースは20mm)、全幅は70mm、全高で40mm(クーペ)とひとまわり大きくなり、まさに「となりの車(=カローラ)が小さく見えます」のキャッチフレーズで話題をまいた。

そこで好敵手のカローラはその9カ月後に1400シリーズを発売、立場を逆転させた。サニーはそれに対処するため、翌71年4月にエクセレント1400系を追加。1200より全長は170mm、全高は5mm、ホイールベースは40mm拡張された。

画像: 室内はメーターパネルを除いて黒で統一され、ステアリングは皮巻きとウッドがあった。ノンパワーだったが車重が軽いのでステアリング操作は軽快だった。

室内はメーターパネルを除いて黒で統一され、ステアリングは皮巻きとウッドがあった。ノンパワーだったが車重が軽いのでステアリング操作は軽快だった。

話を戻そう。このB110系サニーに70年4月から追加されたのが、SUツインキャブを装着した高性能版のサニー 1200GXである。エンジンは4気筒、OHV、1171cc、68psのA12型をチューンし、SUツインキャブと圧縮比アップで最高出力を83psとしたA12型ツインキャブ仕様を搭載。4ドアセダンと2ドアクーペのそれぞれ最上級グレードとして設定された。

セダンで710kg、クーペで705㎏という軽量ボディと1200ツインキャブの組み合わせで、最高速は160km/h。グリルにGXのエンブレムがつき、タコメーターなどが標準装備となるが、そのほかはGLとほとんど変わらない。

画像: 名機A12型エンジン。OHVだがDOHC並みに7000rpmまで軽快に吹け上がった。このエンジンがあってのGXだった。キャブはSU×2。

名機A12型エンジン。OHVだがDOHC並みに7000rpmまで軽快に吹け上がった。このエンジンがあってのGXだった。キャブはSU×2。

サスペンションは、フロントがストラット、リアはリーフリジッド。フロントにディスクブレーキを採用する。

1972 年(昭和47年)8月、セダン、クーペに1200GX-5を新設。GXにレーシングパターン(1速が左下)の直結5速(5速のギア比が1.000)ミッション採用のモデルである。「もっともサニーらしいサニー」といわれたのも、B110系のGXであった。

画像: 110サニーは入門用レースカーとしても愛された。写真は、1972年の東京モーターショー出展され、現在は座間ヘリテージコレクションに展示されているTS仕様。

110サニーは入門用レースカーとしても愛された。写真は、1972年の東京モーターショー出展され、現在は座間ヘリテージコレクションに展示されているTS仕様。

昭和の名車のバックナンバー

サニークーペ 1200GX 主要諸元

●全長×全幅×全高:3825×1515×1350mm
●ホイールベース:2300mm
●重量:705kg
●エンジン型式・種類:A12型・直4 OHV
●排気量:1171cc
●最高出力:83ps/6400rpm
●最大トルク:10.0kgm/4400rpm
●トランスミッション:4速MT
●タイヤサイズ:6.00-12-4PR
●価格:63万円

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