初めて乗った時の衝撃と興奮が今も鮮明に残っている
5月28日にジャパンプレミアされた新型ポルシェ911は、このモデルで8世代目となる。初代のデビューは1963年のことだから実に50年以上の長きにわたり、ポルシェがこだわり続けてきた実用的なスポーツカーとして、あのスタイルや水平対向エンジン、そしてそれをリアに搭載することを守り続けている。誰もがポルシェと言えば、まず最初に911を思い浮かべることだろう。
ところで改めて2018年の私のスケジュールを振り返ってみると、新型911をドイツの某スタジオで見たのは11月のことだった。事前に詳しい情報もなく、そこで初めて対面した8世代目911はかなりインパクトがあったのだ。
しかし、それ以上に大きな衝撃を受けたのは、ワークショップ取材であった。ここまで内容の濃い取材は、あまり記憶にないほどである。そして期待値は大いに高まり、ハンドルを握る日を待ち焦がれていた。その興奮が冷めないうちに早く乗りたいと思っていたが、その思いは日増しに膨らむばかりであった。そしてついに国際試乗会での試乗が叶った。
まるで身体の一部にでもなったかのような一体感
日本では、当然のごとく新型911が導入されるたびに試乗し取材している。大きな改良があったときには国際試乗会にも参加しているが、このタイプ992の試乗ほど待ち焦がれていたモデルはあまりなかったかもしれない。
実際に試乗した新型911の完成度は、素晴らしいものだった。新開発8速DCT(PDK)のスムーズな変速、そして自然吸気のようなターボラグのない水平対向6気筒エンジン、911が身体の一部になったような一体感……どれもが文句の付けどころがない。
ウエットモードの効果も絶大だった。この世界初採用となる機能をテストするため水を撒いたハンドリングコースを走ったが、ラフなアクセルワークやハンドル操作をしてもクルマは安定方向に制御してくれる。それはRRのカレラSでも強く感じられるのだ。これは絶対に装着したほうがいいオプションだな、と思っていたら標準装備だというのだからさらに驚いた。
こうして原稿を書いていたらまたその時の興奮が蘇ってきた。これを静めるには、日本で試乗するしかない。その日が待ち遠しい。
〝TimelessMachine〞=時代を超越したクルマ、永遠のマシンという911になんとも相応しいコピーが付けられた新型は、日本でも多くの人が注目し、期待していることだろう。そのデビュー前から取材を続けていた私は断言する。期待どおり、いや想像を超えた“マシン”であると。(文 千葉知充・Motor Magazine編集長/写真:永元秀和、ポルシェジャパン)