最高出力715ps、最大トルク900Nmの自社製5.2L V12ツインターボエンジンを搭載する究極のフラッグシップスーパーGT「アストンマーティン DBSスーパーレッジェーラ ヴォランテ」、そのオープントップモデルに乗った。(Motor Magazine 2019年9月号より)

クーペの雰囲気を醸し出すオープントップ

クーペは、ルーフからリアにかけての流麗なラインがデザインを印象づける。ところがオープンモデルになると、この自慢のボディラインがなくなってしまう。そこで、DBSスーパーレッジェーラヴォランテは、リアフェンダーをこのヴォランテ専用にデザインし直すことで、全体的な雰囲気をクーペと同じにした。

さらにトランクリッド上部の形状を工夫することで、リアのリップスポイラーと併せ、クーペと同等のダウンフォースを確保している。常に、デザインと機能性がリンクしているのだ。その結果、クーペの面影を残しながらもオープンモデルならではの魅力、美しさを備える存在となってみせていた。

走行性能において、物理的にはクーペに対して重量増と剛性減は否めない。だが実際に走らせた印象では重さも感じないし、剛性不足を感じることもなく、クーペと同じような乗り味となっている。

画像: アストンマーティンDBSスーパーレッジェーラ ヴォランテは、まごうことなき究極のGTモデルだ。

アストンマーティンDBSスーパーレッジェーラ ヴォランテは、まごうことなき究極のGTモデルだ。

スマートさとマッスルさが共存

国際試乗会は、スペインのバルセロナからクルマで1時間半ほど走った、ブドウ畑の中にあるホテルを拠点として開催された。狭い道もあり、そこではスピードは出せないが、オープンエアドライブを堪能できるので、ありあまるパフォーマンスゆえのストレスは感じない。

空気の流れも上手にあしらわれ、巻き込みは気にならず、適度な風を感じながらのドライブは快適だ。のんびり走っている時は、たとえばアクセルペダルを踏んだ時の反応もリニアだが穏やか。扱いにくさや過剰に掻き立てられるフィーリングもない。一方でワインディングロードに行くと、おのずとアベレージスピードが上がる。それでも、少ない舵角でスイスイと気持ちよくコーナーを駆け抜けていく。

画像: アストンマーティンDBSスーパーレッジェーラ ヴォランテは、自社製5.2L V12ツインターボを搭載。

アストンマーティンDBSスーパーレッジェーラ ヴォランテは、自社製5.2L V12ツインターボを搭載。

ブレーキ制御を使ったトルクベクタリング機構を採用しているのだが、そこに頼り過ぎず、基本性能をしっかり作りこんでいるため、ハンドルを切った際の過敏さもなければ、トルクベクタリングの違和感もない。そして、その気でアクセルペダルを踏み込めば、最大900Nmのトルクが吠える

カッコ良いルックス、ハンドルを握ればイギリス紳士のようなスマートさ、トップを開けても優しく、でも時々野蛮さを垣間見せる。これは、惚れずにいられない。(文:佐藤久実)

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