打倒ポルシェ! BMW初のミッドシップスポーツカーとして誕生
![画像: ミッドシップ、リトラクタブルヘッドライトでフロントビューは低くシャープだ。ただ、キドニーグリルなどBMWらしさも健在。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2019/08/08/90732b52c79505daef24963743a4710ef7c08247_xlarge.jpg)
ミッドシップ、リトラクタブルヘッドライトでフロントビューは低くシャープだ。ただ、キドニーグリルなどBMWらしさも健在。
M1のエンジンは欧州ツーリングカー選手権でグループ5の3.0CSLが使用していた「ビッグシックス」と呼ばれる3.5L直6DOHCを、さらに低重心化するなどして搭載した。ミッドシップ車の製造はBMWにとって未知の領域でもあった。
そこで、ベースとなるシャシ開発をランボルギーニに委託。そこでG.P.ダラーラが開発したシャシをランボルギーニが製作することになる。また、ボディ製作はジウジアーロ率いるイタルデザインに委託した。
![画像: イタルデザインの手になるFRPボディはウエッジシェイプで、角形鋼管で構築されたセミスペースフレーム上に架装される。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2019/08/08/81bead9a0a2f592d518b4f1e1e427d4607ea604d_xlarge.jpg)
イタルデザインの手になるFRPボディはウエッジシェイプで、角形鋼管で構築されたセミスペースフレーム上に架装される。
こうしてプロジェクトは動き出したが、ランボルギーニの経営不振で作業は遅々として進まず、BMWは1978年に同車との契約を解消。シャシ製作をドイツのバウアー社に委託する。ただし、これも非効率は免れなかった。シャシをドイツで製作するのは良いとして、ボディの架装はイタリアとなる。さらに最終的にはドイツのBMWモータースポーツ社でサスペンションやブレーキの取付けを行うことになるからだ。
![画像: レースのために生まれたという背景もあるのだろうが、豪奢さを廃して機能性に徹したコクピット。BMWの本気が感じられるところだ。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2019/08/07/89fe1d6771b5bbef82abc1ad70336c03fe2d3028_xlarge.jpg)
レースのために生まれたという背景もあるのだろうが、豪奢さを廃して機能性に徹したコクピット。BMWの本気が感じられるところだ。
このようなこともあり、月産台数は3台程度。当時のFIAが定めたグループ4規定である「連続する24カ月間に400台の生産」達成に目途は立たず、レース出場が絶望視される状況となってしまったのだ。
M1は1978年秋のパリショーでお披露目される。イタルデザインが手がけたウエッジシェイプのFRPボディは、1972年に製作されたBMWターボを思わせるもの。セミスペースフレームは角形鋼管で構築され、その上にボディが架装される。こうするとフレームが路面からの入力を吸収するため、外板に応力が掛からない。ゆえにデザインの自由度が高く、2560mmという長いホイールベースながら、バランスの良いエクステリアとなった。
![画像: エンジンはM88と名付けられた。3.0CSL用のM49/4型をベースにドライサンプ式のオイルパン回りを新たに設計している。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2019/08/08/a698dcddfc633168a8e7c1c8cdda08fd7492623c_xlarge.jpg)
エンジンはM88と名付けられた。3.0CSL用のM49/4型をベースにドライサンプ式のオイルパン回りを新たに設計している。
エンジンはM88型3.5L直6DOHC。BMW初のDOHCエンジンで、ダブルローラーチェーンによるカムシャフト駆動。潤滑系をドライサンプ化したのはレースでの使用が前提だったからだ。
![画像: エンジンは直6が採用され、その後にデフ、ミッションが続くためホイールベースは長い。ただし、重量バランスには優れている。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2019/08/07/b938043e3cc914dc560770a3721a5fbb70ddb9e9.jpg)
エンジンは直6が採用され、その後にデフ、ミッションが続くためホイールベースは長い。ただし、重量バランスには優れている。
ロードバーションはこれにクーゲルフィッシャーの機械式燃料噴射を装着し、圧縮比9.0:1で277psを発生した。性能は、最高速度262km/h、0-100km/h加速5.6秒と公称している。もちろんレース仕様もあり、グループ4用は470ps、グループ5用は3.2Lにダウンサイズし、KKK製ターボを装着して898psを絞り出している。
グループ4規定をクリアする前の1979年にはF1グランプリの前座レースとして、F1ドライバーによる「プロカーレース」を開催した。これによってM1の存在は広く知られるようになる。1980年、目標の400台目のM1がラインオフ。1981年以降のグループ4参戦を認められたが、1982年からグループCに移行したため、M1によるBMWのレース参戦は短命に終わってしまったのが惜しまれるところだ。
![画像: グループ4規定クリアが遅れる中、業を煮やした?BMWは1979年からF1の前座レースとして「プロカーレース」を開催した。](https://d1uzk9o9cg136f.cloudfront.net/f/16783018/rc/2019/08/08/583ec034cd4b1ecc2dc270f2b83c962243fba92d_xlarge.jpg)
グループ4規定クリアが遅れる中、業を煮やした?BMWは1979年からF1の前座レースとして「プロカーレース」を開催した。
BMW M1 主要諸元
●全長×全幅×全高:4360×1824×1140mm
●ホイールベース:2560mm
●重量:1300kg
●エンジン:直6 DOHC
●排気量:3453cc
●最高出力:277ps/6500rpm
●最大トルク:330Nm/5000rpm
●トランスミッション:5速MT
●駆動方式:リアミッド・縦置き