レーシングプロトやディノGTでミッドシップカーの製作に習熟したフェラーリが、満を持して発売した初の超高級ミッドシップスポーツが365GT/4 BBだ。365は1気筒あたりの排気量、4はカムシャフトの数、BBはベルリネッタ・ボクサーの頭文字である。

新世代フェラーリの旗艦はV12DOHCをミッドに搭載

伝統的なFRシャシにハンドリングの限界を感じたフェラーリが次世代に向けて開発したのが、12気筒フェラーリ初の市販ミッドシップとなる365GT/4 BBだ。ベルリネッタ・ボクサーの名が表すとおり、エンジンは新開発の180度バンク V12DOHCが搭載された。このエンジンには、各バンクあたり2基のトリプルチョークウエーバーが装着されて380psを発生した。同排気量のデイトナ用60度V12より28psも強力であり、最高速もデイトナより20km/h速い300km/hを公称している。

画像: 発表は1971年だったが、生産開始は1973年にずれ込んだ。初のV12ミッドシップフェラーリとして熟成に時間がかかったからと言われている。

発表は1971年だったが、生産開始は1973年にずれ込んだ。初のV12ミッドシップフェラーリとして熟成に時間がかかったからと言われている。

ワールドプレミアは、1971年のトリノショー。ピニンファリーナのブースに鎮座した2座クーペは、F1直系を謳った新型12気筒エンジンをミッドに搭載して大評判となる。また、エアコンやパワーウインドー、ラジオなどを標準装備したうえで乗り心地にも配慮したゴージャスな仕立ては、乗員に少なからず我慢を強いてきたそれまでの高性能スポーツカーとは一線を画していた。

365GT/4 BBの骨格は、縦方向に置いた2本のメイン鋼管をクロスメンバーでつなぎ、サブフレームでエンジンやサスペンションを支持する鋼管フレーム構造を採用。コクピットを構成する鋼板を構造部材の一部として用い、モノコックに近い強固なセンターセルを形成していた。これに組み合わせたドアとフロントリッド及びリアエンジンフードはアルミ製、ノーズ下側とテールセクションはグラスファイバー製であった。それらの施策によって、車両重量を1160kgに収めている。

画像: 3連のリアランプと3連のエキゾーストは365GT/4 BBの特徴。後継車として1976年〜1981年に生産された512BBは2連のリアランプと2連のエキゾーストが特徴だ。

3連のリアランプと3連のエキゾーストは365GT/4 BBの特徴。後継車として1976年〜1981年に生産された512BBは2連のリアランプと2連のエキゾーストが特徴だ。

サスペンションは前後ダブルウイッシュボーンだが、リアは左右輪にそれぞれコイルダンパーユニットを2組み装着して、強大なパワーに備えるとともにロールを抑え良好な乗り心地をも生み出している。

注目の新開発V12エンジン はフェラーリ初の180度バンク、つまり水平対向(フェラーリは180度V12と呼ぶ)を採用。380psの最高出力により1160kgのボディを302km/hまで加速させると公称された。

特徴的なのはその搭載方法で、ミッドに縦置きに搭載されるエンジンの下にトランスミッションを一体化した二階建て方式としたところ。そのため水平対向にもかかわらず重心は高くなるが、縦方向の長さは短縮することができ、ハンドリングへの影響は最小限でかつキャビンの前後長も十分に取ることが出来た。

画像: 縦置きにマウントされた4.4Lの180度V12DOHC。この下にエンジンと一体化されたトランスミッションがあり、重心の高さが課題となった。

縦置きにマウントされた4.4Lの180度V12DOHC。この下にエンジンと一体化されたトランスミッションがあり、重心の高さが課題となった。

エンジンの構造から“ボクサー”の愛称で親しまれた新世代の高性能プレステージスポーツは、1973年に生産開始され、1976年にその生涯を終える3年間でおよそ387台が生産されたという。その数はこの種のクルマとしては比較的多く、その高い人気を証明した。

スーパーカー図鑑のバックナンバー

フェラーリ 365GT/4 BB 主要諸元

●全長×全幅×全高:4360×1800×1120mm
●ホイールベース:2500mm
●重量:1120kg
●エンジン:180度V12 DOHC
●排気量:4390cc
●最高出力:380ps/7200rpm
●最大トルク:44.0kgm/3900rpm
●トランスミッション:5速MT
●駆動方式:縦置きミッドシップRWD

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