昭和は遠くなりにけり…だが、昭和生まれの国産スポーティカーは、日本だけでなく世界的にもブームとなっている。そんな昭和の名車たちを時系列で紹介していこう。今回は昭和53年発売のトヨタ セリカXXだ。

北米ではフェアレディZのライバルだったグランドツアラー

トヨタ セリカXX 2600G:昭和53年(1978年)4月発売

画像: 4気筒版のセリカLBとは、少しスタイリングが異なる。テスト値で、最高速度は177.34km/h、0→400m加速は17.52秒を記録している。

4気筒版のセリカLBとは、少しスタイリングが異なる。テスト値で、最高速度は177.34km/h、0→400m加速は17.52秒を記録している。

昭和45年(1970年)の初代発売以来、4気筒エンジンのみを搭載してきたセリカだが、昭和53年(1978年)年4月に、セリカの上級車種としてXX(ダブルエックス)シリーズが登場。2600G/2000Gとネーミングされたモデルを追加設定し、6気筒エンジンのみを搭載している。

セリカXXは、セリカのリフトバックを基本にフロントノーズを210mm延長(セリカST比)、同時にホイールベースも130mm延長して、2630mmの設定としている。

内外装はセリカと比較してさらにラグジュアリー志向が強いが、もちろん新たに2.6L 直列6気筒エンジンを搭載したことによって変貌した走りも、大きな魅力だった。

画像: テールランプとリアウインドーの形状が4気筒モデルと違う。スタイリングはこちらの方がスマートだ。

テールランプとリアウインドーの形状が4気筒モデルと違う。スタイリングはこちらの方がスマートだ。

2600Gに搭載されたエンジンは、EFIによる燃料供給を受ける2563ccの直列6気筒SOHC。140ps/5400rpmの最高出力と21.5kgm/3600rpmの最大トルクを発生していた。

従来から設定されていた2Lの直列4気筒エンジンと大きく異なるのは、やはり大排気量による豊かなトルク感覚で、これはセリカXXが最も重要な輸出市場として考える北米での嗜好性を十分に考慮した結果といえる。

画像: 4M-EU型の6気筒エンジンを収めるため、ノーズはセリカより210mm長くなっている。80年8月にはボアが3mm広い5M-EU(2.8L)となる。

4M-EU型の6気筒エンジンを収めるため、ノーズはセリカより210mm長くなっている。80年8月にはボアが3mm広い5M-EU(2.8L)となる。

サスペンションは基本的にセリカと同様の構成。乗り心地は非常に柔らかなもので、一般的なスポーツモデルとは明らかに異なる印象だった。新採用の2.6Lのユニットに組み合わされたトランスミッションは、5速MTと4速ATの2種類が設定された。

ときにはアメリカンクルーザーとも錯覚する、豪快で快適な走りが味わえたモデルだったことが印象深い。

画像: 基本デザインは4気筒セリカと共通だが、ダッシュボードにはソフトビニールレザーを貼り、高級感を醸し出している。

基本デザインは4気筒セリカと共通だが、ダッシュボードにはソフトビニールレザーを貼り、高級感を醸し出している。

ちなみにモーターマガジン誌(1979年6月号)では、同じ6気筒のBMW323i(ヨーロッパ仕様車)と比較テストを行っている。最高速度は、BMW=200km/h、XX=177.34km/h。0→400m加速はBMW=15.85秒、XX=17.52秒とBMWの圧勝だった。

アウトバーン走行で鍛え抜かれたヨーロッパのGTカーとアメリカ向けGTカーとの差が出た形だが、XXの肩を持てば、世界一厳しい排出ガス規制適合車というハンデを背負ってのものだから、一概にデータだけで結論づけはできないだろう。

画像: モーターマガジン誌では、BMW323iとの比較テストも行われた。

モーターマガジン誌では、BMW323iとの比較テストも行われた。

トヨタ セリカXX 2600G 主要諸元

●全長×全幅×全高:4600×1650×1310mm
●ホイールベース:2630mm
●重量:1180kg
●エンジン型式・種類:4M-EU型・直6 SOHC
●排気量:2563cc
●最高出力:140ps/5400rpm
●最大トルク:21.5kgm/3600rpm
●トランスミッション:4速AT
●タイヤサイズ:195/70HR14
●価格:190万9000円

昭和の名車のバックナンバー

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