ドイツにおけるディーゼルエンジンのプライオリティは、未だ非常に高い。アウディの最上級SUVも、そのトップグレードに搭載。最大トルクは900Nmだ。(Motor Magazine 2019年9月号より)

マッチョな走行フィーリング

アウディSUVの頂点に立つSQ8にはディーゼルエンジンが搭載される。それも、4L V8ツインターボで最高出力は435ps、最大トルク900Nmを発生。このスペックは、欧州で販売されているSUVとしては最強だ。

圧倒的力強さはエクステリアデザインでも、惜しげもなく表現されている。太いクロームのフレームで囲まれたシングルフレームグリルと、それを支えるかのようなアルミ製バンパーがその象徴だ。

一方、サイドビューはエレガントな4ドアクーペ風で、太いが傾斜の強いCピラーがその印象をことさら強調している。一方リアエンドは、車福いっぱいに広がった横一文字リアコンビネーションライトに加え、左右本出しのマフラーカッターがハイパフォーマンスを後ろ姿でも物語る。

なにしろ全長5m、全幅2m、ホイールベース3m、そして自重2.5トンの巨体だ。標高2000mを越えるフランスのピレネー山脈の峠道で行われたテストでは、たとえ4輪操舵をもってしても決して軽快な印象はない。ダイレクト感はあるが、ずっしりとした操舵力を感じさせるハンドルも、マッチョなSUVを動かしているという感じが常に付きまとっていた。

画像: 力強さを感じさせる太いクロームで囲まれたシングルフレームグリル。

力強さを感じさせる太いクロームで囲まれたシングルフレームグリル。

巨体でも安心なセラミックブレーキを設定

それでも驚異的なパワーとEPC(電動コンプレッサー)のスマートなサポートのおかげで、0→100km/h加速は4.8秒と、ダイナミック性能に不満など出ようはずもない。

驚嘆したのは、オプションで装備されていたセラミックブレーキだ。外気温摂氏度を超えた状況、しかも低速のヘアピンコーナーが続く峠道でも、終始変わらない確実な制動力を提供してくれた。

画像: 搭載の4L V8ツインターボディーゼルエンジン(最高出力435ps/最大トルク900Nm)。

搭載の4L V8ツインターボディーゼルエンジン(最高出力435ps/最大トルク900Nm)。

欧州ではこうしたマッチョなSUVを好むオーナーは少なくない。Q8系ユーザーの人にひとりがSQ8を選択するという。

このSQ8のドイツでの販売価格は、10万2900ユーロ(約1250万円、19%の付加価値税込み)だが、テスト車に装備されていたセラミックブレーキなどを追加するとすぐに2000万円に近くなるだろう。このモンスターSUVの日本への輸入は、現時点では未確定だ。(文:木村好宏)

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