スーパーカーといえばエンジンはミッドシップ…と思われがちだが、コンベンショナルなFR(フロントエンジン リアドライブ)を採用しているモデルも、1960年代から21世紀の現代まで数多く存在する。そこで、FRならではの美しい佇まいも備えたスーパースポーツカーを紹介する連載企画をお届けしよう。

LAMBORGHINI Jarama:ランボルギーニ ハラマ(1970-1976)

画像: 前回紹介したエスパーダよりはひとまわり小さい、2+2のFRクーペとされている。

前回紹介したエスパーダよりはひとまわり小さい、2+2のFRクーペとされている。

いまやランボルギーニといえば、「ミッドシップエンジンのスーパーカー!」という答えが返ってきそうなほど、スーパーカー メーカーのイメージが強い。もっとも、いまはウルスというスーパーSUVもラインアップしているが、これもミッドシップではないけれどスタイルとパフォーマンスを考えれば、スーパーカーの一種と考えても間違いではないだろう。

ミウラから始まった、そんなミッドシップ スポーツカーの系譜だけがランボルギーニの本流のように思われているが、元来、ランボルギーニの創業者であるフェルッチオ・ランボルギーニが作りたかったクルマは、もっと実用的な高性能車だった。そして1970年のジュネーブ ショーで発表された、ここで紹介するハラマが、ランボルギーニにとって実用的なFRモデルの最後となっている。

ハラマという車名は、スペインにあるサーキットの名称から名づけられたもので、かつてはF1スペインGPも開催されていた。当時、あのカウンタックの陰に隠れて、いかにも地味な存在のハラマだったが、実業家でもあるフェルッチオは、このクルマこそがお気に入りだったと言われている。

画像: カウンタックやミウラなどに比べるとどうしても地味だが、居住性を含めた性能としては明らかに上回っているスーパーカーと言える。

カウンタックやミウラなどに比べるとどうしても地味だが、居住性を含めた性能としては明らかに上回っているスーパーカーと言える。

当初は、4L V12の片バンクを用いたストレート6をフロントに搭載した量産スポーツカーとして計画されたが、やはり結局はベースのV12をそのまま搭載する豪華スポーツカーとして完成された。最初に設計を任されたのは、ミウラを作り上げたジャンパオロ・ダラーラ。その後、彼は多くのレーシングカーを世に送り出し、いまもレーシングカー コンストラクターとして活躍している。だが彼はハラマの製作途中に退職し、パオロ・スタンツァーニが引き継ぐ。

ボディデザインは、ミウラやエスパーダと同様、ベルトーネ社が手がけた。当時、ベルトーネ社のチーフデザイナーだったマルチェロ・ガンディーニのデザインだが、鬼才と呼ばれたガンディーニの作品の中では比較的おとなしめなデザインだ。

画像: インテリアのデザインはエスパーダと似た、スポーツカーと言うよりラグジュアリーカー的なもの。

インテリアのデザインはエスパーダと似た、スポーツカーと言うよりラグジュアリーカー的なもの。

それでも、ジェントルマン ドライバーのために考案されたと言われるハラマは、前回紹介したエスパーダのようなフル4シーターではないが、+2のリアシートを持つ実用性に加え、優雅さとパワーを理想的に組み合わせた超豪華高性能GTとしての完成度は高かった。

公称の最高速度は260km/hだったが、それを偽りのないものとするため、1972年に発表された後期型のハラマS(400GTS)ではV12のDOHCエンジンは365psにまで強化された。エアコンなどの利きも良く、快適性も優れていた。

前期型のハラマ 400GTは176台、後期型のハラマ 400GTSは152台と、総生産台数もランボルギーニ社の他のスーパースポーツに比べると控えめだった。

画像: ヘッドライトはセミリトラクタブル式。ガンディーニのデザインとしては、比較的おとなしいスタイルだ。

ヘッドライトはセミリトラクタブル式。ガンディーニのデザインとしては、比較的おとなしいスタイルだ。

ランボルギーニ ハラマ 400GT 主要諸元

●全長×全幅×全高:4485×1820×1190mm
●ホイールベース:2380mm
●車重:1540kg
●エンジン形式・排気量:60度V12 DOHC・3929㏄
●最高出力:350ps/7500rpm
●最大トルク:40.0kgm/5500rpm
●燃料タンク容量:100L
●トランスミッション:5速MT
●タイヤサイズ:215/70VR15

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