歴代3シリーズツーリングには多くの魅力を持ち、ファンも多い。その新型がデビューするとなると自然と期待も高くなるものだ。そんな6世代目G21に、ドイツ ミュンヘンとその郊外で試乗することができた。(写真:BMW ジャパン)

ツーリングを積極的に選ぶ機能や装備が揃っている

画像: 6世代目となるBMW3シリーズツーリング。マーケットによってはセダンを上回る人気を持っている。

6世代目となるBMW3シリーズツーリング。マーケットによってはセダンを上回る人気を持っている。

すでに新型3シリーズセダン(G20)がデビューしているのだから、その登場は秒読み段階だった。当然、現行モデルにオーナーばかりではなく、多くの人はどのように進化するのか、興味津々だったことだろう。そう、3シリーズのステーションワゴンモデル「ツーリング(G21)」のことである。

画像: ミュンヘンで開催された国際試乗会。用意されたのはすべて330dツーリングである。

ミュンヘンで開催された国際試乗会。用意されたのはすべて330dツーリングである。

なにを隠そう、私もそんなステーションワゴンの魅力にはまったひとりである。ラゲッジルームにとりあえず、必要になりそうなものをたくさん放り込んで、文字どおり“使い倒せる”その便利さを知ってしまい、そこから離れられないのだ。つまり、新型3シリーズツーリングの国際試乗会でのテストドライブには、使う側の目線も多く入っていたと言えるだろう。

画像: 豊富なラゲッジルーム容量を誇り、使い勝手はとてもいい。

豊富なラゲッジルーム容量を誇り、使い勝手はとてもいい。

3シリーズツーリングの概要を少し記すと、新型はモデルネームがGとなり6世代目となる。ちなみに初代型が登場したのは、1987年のことだ。E30で初めて3シリーズツーリングが誕生した。以来5世代目までの累計販売台数は約170万台となる。その中でも従来型の3シリーズツーリング(F31)はヒット作で2012〜2019年の間に約50万台を販売している。ちなみに3シリーズセダンの販売台数は約150万台なので比率はセダン75%、ツーリング25%となる。国別の販売台数ではドイツ、イギリス、イアリアが上位3国だ。

画像: Mスポーツのデザインはかっこよく人気だ。とくに日本はMスポーツ率が高い。

Mスポーツのデザインはかっこよく人気だ。とくに日本はMスポーツ率が高い。

なかでもイタリアはセダンよりもツーリングの販売数が多く、約75%がツーリングになっているという。そしてドイツも3シリーズを購入した人の約66%が、ツーリングを選んでいるようだ。

さて3シリーズツーリングだが、試乗に用意されたのは、スポーティバージョンとなるMスポーツだ。相変わらずMスポーツのエクステリアデザインはカッコイイ。日本はMスポーツの販売比率がとても高いというが、その気持はとてもよくわかる。

画像: BMWの「駆けぬける歓び」は当然、ツーリングモデルであっても健在だ。

BMWの「駆けぬける歓び」は当然、ツーリングモデルであっても健在だ。

ちなみに本国での新型のラインナップは、ガソリンが340i、330i、320i、ディーゼルが、330d、320d、318d、PHEVとして330eがあり、340iと330i、330d、320dにはxDriveも用意される。このうち日本には320i、320d、330i、340iは導入され、320dと340iはxDriveモデルである。ボディサイズは、従来より全長が+76mm、全幅が+16mm、全高が+8mmとなっている。

そしてラゲッジルーム容量は、従来より拡大され、5名乗車時500L(F31比+5L)、40:20:40の分割可倒式リアシートバックを倒せば最大で1510L(同+10L)にまで拡大することができる。また、このモデルでも独立開閉式リアガラスが採用されていることがとてもうれしい。これは3シリーズツーリングを選ぶ上で絶対に外せない、と思っている人も多くいるはずだ。BMWは、そうしたユーザーの要望に、このモデルでもしっかりと応えてくれたのだ。このあたりは、“さすがBMWはユーザーの気持ちをわかっている”と言えるだろう。

ラゲッジルームには、さらに便利な機能も採用された。「アンチスリップレール」というもので、フロアに用意された4本のレールが積載時は荷物を出し入れしやすくする機能を果たし、走行時はそのレールが2mmせり上がって荷物が動かないようなストッパーの役目を果たすというものだ。

実際にラゲッジルームに荷物を積んでテストドライブしたが、これは実に便利な機能だった。やはりツーリングは、荷室で荷物がゴロゴロ転がっていると気になってしまうがこれなら大丈夫である。日本仕様はこれはオプション設定となったが、ぜひとも装着したいアイテムのひとつだろう。

画像: 3シリーズツーリングには新たにドライブレコーダー機能が装備された。自動録画、手動録画に加え静止画も撮影できる。

3シリーズツーリングには新たにドライブレコーダー機能が装備された。自動録画、手動録画に加え静止画も撮影できる。

車両のカメラを使ったドライブレコーダーの搭載は日本で大きな話題となるはず

もうひとつ興味深い機能が採用された。それがドライブレコーダーだ。これは3シリーズツーリングが搭載しているカメラを使い録画するというものだ。いままでありそうでほぼなかった機能だと言えるだろう。これはかなり便利。ドライブレコーダーが今、注目され、販売が多い日本ではこれを装着する人はかなり多くなりそうだ。

その機能は、前後左右が同時に自動録画できるというもの。なにか衝撃が起きたその前後秒が録画され、それが40秒の1ファイルになるという。さらに手動操作も可能で、たとえば静止画やサーキット走行の動画なども撮影が可能なのだ。とても興味深く、実際に日本でテストしてみたい機能である。ちなみにこのデータは吸い出してUSBデバイスに記録できるという。ちなみにこれも日本仕様はオプションだが、ぜひとも選びたい装備のひとつである。配線する必要もないしフロントウインドウがすっきりするというメリットもある。

画像: テストカーの330dは、3L直6ディーゼルターボエンジンを搭載、265ps/580Nmの出力とトルクを発生する。

テストカーの330dは、3L直6ディーゼルターボエンジンを搭載、265ps/580Nmの出力とトルクを発生する。

試乗した3L直列6気筒ディーゼルターボエンジン搭載車(330d)の印象は、実にパワフルというものだ。いい意味でディーゼルエンジンらしくない吹け上がり方がとても好印象だ。BMWは、ディーゼルエンジンも“さすがはBMWの6気筒”と感心するほど気持ちよく回り、いい走りを味わわせてくれる。さすがである。文句の付け所がない。ただ、残念なのは、この330dの日本導入が未定だということ。ディーゼルエンジンモデルは、320dが導入される。

乗り心地も実に快適そのものだった。Mスポーツらしく足下は締め上げられているが嫌なゴツゴツ感を感じる場面はまったくなかった。最大トルクの580Nmは1750rpmから発生するので低速域を多用する街中でも実に扱いやすい。

今回の試乗では、ドライビンングパフォーマンスコントロールのモードを「アダプティブ」にして多く走ったが、これが実にスポーティなBMWらしい走りが味わえた。

さて日本導入モデルだが前述のとおり320i、320d、330i、340iとなるが、本誌では改めて日本仕様をテストドライブレポートするので、どうぞお楽しみに。(文:千葉知充)

画像: BMWのツーリングといえばやはりこの独立開閉式のリアガラスだろう。5シリーズツーリングにも採用されるが、この機能があるからこそ“BMWのツーリング”を選ぶ人も多い。

BMWのツーリングといえばやはりこの独立開閉式のリアガラスだろう。5シリーズツーリングにも採用されるが、この機能があるからこそ“BMWのツーリング”を選ぶ人も多い。

BMW 330d xDrive M Sport Touring 主要諸元

エンジン種類:直6 DOHCディーゼルターボ
総排気量:2993cc
ボア×ストローク:84.0mm×90.0mm
圧縮比:16.5
最高出力:194kW(265ps)/4000rpm
最大トルク:580Nm/1750-2750rpm
燃料・タンク容量:軽油・59L
燃費:17.9-18.5km/L
全長×全幅×全高:4709×1827×1445mm
ホイールベース:2851mm
車両重量:1820kg
ラゲッジルーム容量:500-1510L
駆動方式:4WD
トランスミッション:8速AT
最高速:250km/h
0→100km/h加速:5.4秒
※すべてEU準拠

This article is a sponsored article by
''.