1986年のインターTECで、意外な速さを見せてグループAレースファンの注目を浴びたのがホールデン コモドールだ。オーストラリアの自動車メーカーであるホールデンが1986年のインターTECに持ち込んだコモドールSS。見かけこそオーソドックスなサルーンカーだが、レース後半までトップ争いに絡んで富士スピードウェイに詰めかけた観客を沸かせる活躍を見せた。

5LのV8 OHVエンジンが最新のDOHCターボ車を引き離す!

画像: 予選で6番手につけた14号車は、2位まで浮上した。しかし94周を走ったところでエンジントラブルに見舞われリタイア。

予選で6番手につけた14号車は、2位まで浮上した。しかし94周を走ったところでエンジントラブルに見舞われリタイア。

1986年のインターTECに参戦したのは、HDT(ホールデンディーラーチーム)のコモドールSS。エンジンは5LV8OHVでノーマルでは最高出力263hp/5200rpmを発生していた。それをグループAでは420hp/7000rpmにまでチューニングしていた。すでに電子制御インジェクションがあたりまえだった時代にキャブレター仕様だったのも印象的だ。燃料タンク容量は120Lとなっていた。

車両重量は1325kgと当時としては重量級だが、トルクの厚さを生かしてモリモリ走るイメージのマシンだ。

サスペンション形式は、フロント/ストラット、リア/5リンクリジットという組み合わせ。グループAの走りに対応するために、ゴムブッシュはピロボールに変更。ショックアブソーバーはビルシュタイン製が仕様されていた。

画像: フュエルタンクは120Lの容量。給油も当時は最先端のクイックチャージャーを使用して行う。

フュエルタンクは120Lの容量。給油も当時は最先端のクイックチャージャーを使用して行う。

ブレーキは前後とも4ポットキャリパーにベンチレーテッドディスクローターの組み合わせ。ホイールサイズは10J×16もしくは17、タイヤサイズは265/630−16もしくは17をチョイスした。

インターTECにはP.ブロック/A.モファット組(14号車)とA.グライス/G.クロスビー組(27号車)の2台が出場した。予選ではトラブルもあり、それぞれ6位、7位という位置だった。続く決勝では、1周目、14号車が3位、27号車が5位に上がった。14号車はさらに2位に順位を上げトップ追うが、94周でシリンダーヘッドにクラックが入りリタイアとなる。

画像: 27号車は最終コーナーからストレートに帰ってきた瞬間に左前輪が外れるというトラブルに見舞われたが、このまま5位でゴールインする。

27号車は最終コーナーからストレートに帰ってきた瞬間に左前輪が外れるというトラブルに見舞われたが、このまま5位でゴールインする。

変わって27号車が終盤まで優勝したボルボの後を追い2位につけるが、残り7分で左前輪が外れるというトラブル。それでも諦めず観客からの大声援を受けながら3輪でゴールインし、5位という結果だった。この後、14号車は国内チームに売却され、1987年の全日本ツーリングカー選手権にも参加することになる。国内では大活躍とは行かなかったが、印象に残る一台だ。

グループAの名車バックナンバー

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