156譲りのメカニズムのホットハッチは価格も魅力
156が切り開いたアルファブランド復活への道を、より確固たるものに仕上げたのが147で、およそ40万台を超える大ヒット作となった。今でもアルファの屋台骨を支えるモデルだ。
デビューは2000年。要約すれば156のプラットフォームを活用したハッチバックモデルとなるが、乗り味は大いに異なっている。
たとえば、ワインディングでのコーナー進入時など、曲がりばなの印象はよく似るものの、その先は短いホイールベースと専用チューンのリアサスによって動きはいっそう鋭くなる。全体的にピーキーなハンドリングで、そのレトロユニークなスタイリングとは裏腹に相当な「ホットハッチ」ぶりだ。そんな走り味のスタイリングのマッチングが、147シリーズの魅力であり、人気の理由であろう。
現行モデルは昨年(2004年)秋にマイナーチェンジを受けたもの。ピニンファリーナ原案、アルファロメオ チェントロスティーレ作とされるスタイリングを今一度、チェントロスティーレでフェイスリフトしている。
顔つきは兄貴分同様、大きな釣り目ヘッドライトを持つアグレッシブなものに。中身の変更もポイントだ。特に、日本仕様の2リッターモデルに標準で装備されるコンフォートサスペンションに注目したい。ワインディングでの楽しさはそのままに、タウンスピードでの乗り心地や高速道路でのスタビリティに多大な向上をみた。また、セレスピードも改良を受けており、フルオートマチックモードでもシフトアップ時のショックがかなり抑えられている。
日本仕様のラインナップは、今のところ5ドアモデルのみで、2L ツインスパーク(TS)の5MTとセレスピード、そして1.6Lの5MTの3グレード構成。2L TSのマニュアルのみ左ハンドルである。
早晩、3ドアモデルやTI仕様などを追加して、前期型と同じようなラインナップとなってゆくだろうが、現時点でベストバイを挙げるなら、2.0TSの5MT、左ハンドルか。
156では味わえなくなった元気印のツインスパークエンジンを、まずはマニュアルでぶん回して楽しんで欲しいと思う。もっとも、以前からの147らしさを味わうなら、ノーマルサスションを装備する1.6Lもいいだろう。いずれにしても、もう少し待てば選択肢も増える。次の149まではまだ間がありそうだから、156シリーズとは違ってじっくりと選ぶというのも手だ。また、156の2LがJTSエンジンにスイッチしているのに対し、147はTSエンジンがそのまま継続されているというのもファンにとってはポイントが高い。
147の特別なモデル、現在最もホットなアルファと言えるのが「147GTA」だ。先に登場していた156GTAのパワースペックを小柄なサイズの147に詰め込んだのだから、さもありなん。しかもレザーシートが標準ではないなどいくつかの理由で156GTAより100万円以上も安い。言ってしまえば、お買い得でもある。
車両重量的には156GTAに比べて30kgほど軽いだけだが、トランクケースがないことによる過激なまでの身のこなしは156にはないもの。名ばかりのホットハッチが多い中、こいつは正真正銘と言えるだろう。
156GTA同様に、147GTAでも6速MTもしくは6速セレスピードからの選択となるが、どちらもお薦め。強いて言えば、ワインディングあたりで心底楽しみたいのなら、セレスピードだ。取っ組み合いをしているかのようなステアフィールに集中できる方が身のためでもある。(文:西川淳/Motor Magazine 2005年8月号より)
アルファロメオ アルファ147 2.0ツインスパーク セレスピード(2005年)主要諸元
●全長×全幅×全高:4225×1730×1450mm
●ホイールベース:2545mm
●車両重量:1330 kg
●エンジン:直4DOHC
●排気量:1969cc
●最高出力:150ps/6300rpm
●最大トルク:181Nm/3800rpm
●トランスミッション:5速AMT
●駆動方式:FF
●車両価格:313万9500円(2005年当時)