X3 M/X4 Mの登場でその狙いがより鮮明に
2019年に登場したX5 M(G05型)/X6 M(G06型)は、3代目にして「Mの世界」に再び変化を加えたように思える。初代モデル(2009年)でそれまでのMの常識を破り、その世界観に大きな広がりをもたらしたX5 M/X6 Mだが、この3代目ではX5/X6シリーズのフラッグシップとしての役割を鮮明に主張しているようだ。
エクステリアおよびインテリアをMモデルの中でもトップエンドに位置する車両らしいアグレッシブかつラグジュアリーなものに変更、大きく口を開けたMフロントグリル、迫力のリアスポイラーとリアディフューザー、ツインテールパイプなどがMモデルであることを強烈に主張すると同時に、インテリアは豪華さを増したゴージャスな専用コクピットデザインとなる。
メカニズムはM5のものを専用にチューニングしたと言える成り立ちで、最高出力480ps(コンペティション仕様は510ps)の直噴4.4L V型8気筒ガソリンツインターボを搭載、トランスミッションは8速AT「Mステップトロニック」で、ドライバーはMセレクターレバーまたはステアリングホイールのパドルシフトでマニュアル操作が行える。駆動方式は後輪駆動を重視した設計の4WD「M xDrive」を搭載、左右間の駆動トルク配分はアクティブMディファレンシャルが行う仕組みとなっている。
1970年代、M1、初代M5、初代M3が誕生した当時、「Mの流儀」と考えられていたのは、「モータースポーツ参加を前提としたモデルあること」「高回転型のパワフルな自然吸気エンジンを搭載すること」「MT(もしくはMTをベースにした2ペダルAT)を採用すること」「軽量コンパクトな設計がもたらす切れ味鋭い走りを持つこと」「駆けぬける歓びを実現するリアホイールドライブレイアウトであること」などであった。
しかし、それから45年、時代の変化と要請とともに、Mモデルはそうした概念にとらわれず、重量級のSUV、ターボ、4WD、トルクコンATの採用など、大きな広がりを見せている。その立役者となったのがX5 M/X6 Mだが、それでもBMW M社のモータースポーツ魂が貫かれた、本物のピュアモデルであることに変わりはなかった。そして最新のX5 M/X6 Mもまた、「最新のMの流儀」に則って開発されているのだった。
BMW X5 M(2019年)主要諸元
●全長:4938mm
●全幅:2015mm
●全高:1747mm
●ホイールベース:2972mm
●車両重量:2385kg
●エンジン:V8DOHCツインターボ
●排気量:4395cc
●最高出力:600ps/6000rpm
●最大トルク:750Nm/1800-5600rpm
●駆動方式:4WD
●トランスミッション:8速AT
●0→100km/h加速:3.9秒
●最高速:290km/h
※欧州仕様
BMW X6 M(2019年)主要諸元
●全長:4941mm
●全幅:2019mm
●全高:1692mm
●ホイールベース:2972mm
●車両重量:2370kg
●エンジン:V8DOHCツインターボ
●排気量:4395cc●最高出力:600ps/6000rpm
●最大トルク:750Nm/1800-5600rpm
●駆動方式:4WD
●トランスミッション:8速AT
●0→100km/h加速:3.9秒
●最高速:290km/h
※欧州仕様